概要
言葉にできない不安な気持ちに押し潰される
田舎に住む少年が抱く、将来への不満
こんな場所に居たくないと東京へ飛び出すが――――
こんな場所に居たくないと東京へ飛び出すが――――
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!冷たい壁と暖かい床
芥川龍之介の短編に『トロッコ』がある。検索すれば青空文庫などですぐ読める。現代でいえば、小学二、三年生くらいの子供がどうしても乗りたかったトロッコに乗せてもらい、最初はとても楽しい思いをしたが……という物語である。
当然ながら本作は『トロッコ』とは一切関係ない。ただ、ある種の『比較物語考』としては興味深い。
本作で描写される地方と東京の対比、特に疲弊し閉塞した前者の姿は『トロッコ』にはない。即ち、直接の動機づけは無論異なる。だが、それぞれの主人公の言動をもっと掘り下げればどうだろう。
『トロッコ』の主人公は子供らしい憧れでそれに乗り、子供らしい行動半径の狭さから自らの楽しみの破綻を悟…続きを読む