死がふたりを別つから

作者 ルマランゼ

92

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★★★ Excellent!!!

息の詰まるような、そんな閉塞感のあるミッション・スクールを舞台にした、繊細で敏感な少女たちの物語。そこにあるのは、むき出しの神経を風が撫でるような、そんな思春期の痛々しい思い。青春を甘酸っぱいだとか、ほろ苦いというのは勝手だが、当事者にとっては出口のない迷路をさまようような、孤独との戦いの連続だ。どんなにたくさんの人や、教えに囲まれていても孤絶の中にいる少女たち――そんな痛々しくも瑞々しく、そして息苦しい、そんな先の読めない物語が展開されています。読み進めていくたびに新しい発見のある作品です。

★★★ Excellent!!!

初めてレビューを書きます。拙いとは思いますが、どうぞよろしくお願いします。
言葉にならないくらい、素晴らしい作品です。思わず製本版も買ってしまいました。
圧倒的な語彙、先の読めない展開、物語に組み込まれる知識の数々。その全てが素晴らしいです。読み終わった後の脱力感がこれほど心地の良いものだとは思いませんでした。皆様にも是非ご一読いただきたいです。そして一緒に考えてください。
彼女が何故、死んでしまったのかを。

★★★ Excellent!!!

心臓痕硝子。視覚情報から始まる文頭は少女の鮮烈な眼を、実直に鋭く表現されておりこの文章は徐々に、言外の確固たる思想を裏付けるものとして自分の中で印象を濃くしつつあります。それ程奥床しい言語化だと存じています。宗教を題材としたその特有の格式高さと厳かな雰囲気があり、箱庭で繰り広げられるミステリーといい非常に良く練られた設定や舞台で作者様の文章と創作、そして独自の世界観に対する誠実さ、真摯な姿勢が伝わってくる作品です。秀逸な構成と何より言葉の正確さにはドッと胸を衝かれますし、綿密な拘りは決して型に嵌らない“百合”のあるべき姿としてカテゴライズに屈服しない独立した強さが確かに存在します。 もしかすれば普段から女性をよく観察しておられるのでしょうか。私個人が拝読していて衝撃を受けたのは少女達の動作や肉体美を豪快でありながら嫋やかに綴られている点です。感情的でありながら抑圧的で濃度の高い少女達の関係性も然る事乍ら、彼女達の天真爛漫な振る舞い、残酷で無秩序な感情、その全てを包容する質の良い文体に思わず窒息してしまう程激動が雪崩込んでき、読んでいると泣き出してしまいそうになる事が屡々。そして徹底的なまで美しい女、女性という性を鮮やかに、それでいて極々自然な形で描写されており、脳内における視覚的な想像が一層捗るような、本当に圧巻です。
幾度も反芻したくなる、恋い焦がれてしまう程の文筆力だと思います。また、作者様の矜持が感じられて好ましい。応援しております。

★★★ Excellent!!!

このお話の閉塞的で圧迫されながらも水を掻くように抗い押しのけながら進む、息苦しさと心地良い冷たさのあるこの空気感は、このお話に含まれる感情の虚ろと重さは、百合という枠組みに囚われず、好きな人は好きな空気だと思います。
事実私がそうなので。
それを綴る文章も、鼻の奥をすんと突く雨の匂いのような、感覚器の奥底を軽くひっかくような心地よい刺激を感じる美しく繊細で緻密なもので、内容としてやや難解で硬めなところはありますが、口に放り込んだ砂糖菓子のように、ほろほろと崩れてほどけて、ざらざらとした余韻を残していく、個人的にはとてもとても好ましい爪痕を残す文章だと思います。

2章の9まで読んだ所感として、きっと、心臓痕硝子という少女は、人の欠けを映す鏡面だと思うのです。
心臓痕硝子という少女は完璧へ至るための一欠けでありながら、完璧を損なう不純物だと思うのです。
生きていた時からそうであり、そしてその実体が喪われたが故に、誰もそれが鏡でしかないと正しく認識することができなくなってしまった。
それを虚ろな鏡像でしかないと指摘しながら、破片である呪いを集めて組み上げたその時に、契約を成し遂げるために、彼女は何をするのか。
それが待ち遠しくも恐ろしいです。

★★★ Excellent!!!

 心臓痕硝子は完成された美少女だった。繊細な作り物のように見るものの目を奪うミステリアスな少女はしかし、一年前に突然亡くなってしまう。学校の屋上から飛び降りたとされる彼女。その亡霊がいつしか学校にオカルティックな儀式と結び付いた。「降霊会」で彼女の霊を呼び出すあそび……彼女の「呪い」が学校を支配していく。

 心臓痕硝子という、強烈な個性を放つ存在が楔のように打たれた物語です。彼女は死んでいるはずなのに、「呪い」によって未だに畏怖され噂となり、生き続けている。硝子を視ることができるいたみとのやり取り、謎を掛け合わせることで深みが増していく関係性、そのどれもが魅惑的な世界観を見事に表現しています。どんな形であれ、心臓痕硝子という存在に心をとらわれていく。そんな人間たちが回していく物語から目が離せません。

★★ Very Good!!

重苦しい雰囲気からの宗教談義、断片的な情報の連続。百合GLを期待してきた読み手によっては序盤でやめてしまう方もいると思う。しかし、1章9節まで読んでみてほしい。「俺の作った百合沼にハメてやる!」というパワーを強く感じ取れます。

魅力のある人物、繊細なストーリー展開。特に1章9節が個人的にはとても好きで、2章が楽しみです。

ミステリとしての展開、情報、登場人物の所作、情景が丁寧で気持ちが入りやすいのですが、一部の情報が妙に少なく感じることもあり、これが意図的なのかどうなのか、とても気になってしまいます、そう考えてしまう部分も魅力だと言えるくらいですので、もっと伸びて欲しい作品です。

★★★ Excellent!!!

息の詰まるような世界観、それを描写する美しい文章。緻密に練り上げられたプロット。繊細で、それでいてほんの少し残酷な少女たちの息遣い。好きな人は凄まじく好きな世界観のはず。ずらりと並んだタグの単語に心惹かれる方には是非読んで欲しい。続きが待ち遠しい。それだけに、なぜこんなに伸びないのか、不思議で仕方ない。