物語を中盤まで読み進めて、
何が起きたのかを理解して、私は泣いた。
情けなくて、悲しくて。
それほどまでに感情移入していたのだ。
この作品の魅力は、主人公とホームレスの掛け合いにある。
特に、ホームレスの語り口調が個性的だ。どこか愛嬌があり、人の心をつかんで離さない。
この人は相当頭がいい。度胸もある。
私なら、この場面でとっさに「この財布、●●●か?(※ネタバレ防止)」とは言えない。
読めば読むほど、会話に引き込まれてゆく。
本文の二行目のセリフが、とくに巧い。
このセリフを読んで「ええっ、なんでだよ」と思ったときにはすでに主人公に感情移入している。
このセリフがあることで、一気に「二人のセリフを傍観する読者」ではなく「主人公目線」に立たされる。
だから、五百円玉の描写もシンプルなのに、本当にキラキラして美しく感じる。
星が落ちてきてコインになったという話にも、心をくすぐられる。
人によっては主人公をあざわらう人もいるだろう。
感情移入する私を馬鹿にする人もいるかもしれない。
でも、ヒロインの言葉と、ラストの主人公の言葉で気付く。
そう、この物語は「そういうふうに」楽しむのが、たぶん正しいのだ。
感情移入して、ワクワクして、ちょっと泣いて。
そして最後に思うのは、やはりこのホームレスが元気に暮らしてくれるといいな、ということである。
カメラマンの主人公はホームレスの写真を撮るため、ある老人に声を掛ける。
その老人は撮影を拒否するが、かわりにピカピカの500円玉を見せてきて……。
主人公と同じく……わたしもホームレスの老人を心から信じていました。
そして、いろいろ判明したあとも最後までずっと信じていました。
主人公とホームレスのやりとりは大変秀逸だったため、そこに猜疑心を抱いたわけではないのです。
きっと作者様の文体や雰囲気が良いからなのだと思います。
結末も本当にすっきりと嬉しい気分になりました。
このようなとても優れた作品に巡りあえて、わたしも幸せですー!
ありがとうございました!^-^
面白いっ! 素敵なお話!
ホームレスが持っている財布は魔法の財布だった。
毎日、1枚、星のようにピカピカの500円玉が入っているという。
主人公はその魔法の財布に惹かれ……。
ネタバレしてしまいそうなのであまり詳しく書けないのですが、主人公とホームレスとのやりとりがメインです。
そのストーリーの進め方が巧みで、自然と主人公側の感情に同意していく読者が多いと思うのですが、そのタイミングで魔法の財布のトリック、さらにはホームレス側の話へと展開していきラストへ。
全てがきれいに線で繋がるストーリーで、読後のすっきり感は半端ないです!
星のかけらは本当だったのですね♪