闇を切り裂く痛快ナンバーがお望みなら、この物語に乗っていけ。

スタイリッシュ・ハードボイルド・運び屋アクションの傑作だと思います。

洒脱な語りの似合う硬質な男が、タフな日々を生きていく……言ってしまえば、そんなコトバだけに収まってしまいそうな物語です。

しかし、これはそうではない。真の魅力とは、その語りの裏側に滲む哀愁や寂寥感、ナイーブさ。つまり、苦みの混じった「スピードを超えた先にあるやさしさ」です。やさしくなければ、というハードボイルドの警句がありますが、まさにその通りです。ハードな中に、私は確かに、これが「優しい物語」であるような、そんな感覚をおぼえました。しかし、それがやりすぎになったり、甘すぎたりしないのは、キビキビとした、あくまで「SF」というタグが似つかわしい舞台設定や物語のスピード感、各サブタイトル等が示すスタイリッシュさによるもので、それこそが作者の力量なのではないか、と思います。

なんだかナカミのないようなレビューになってしまいましたが、これに関しては詳しく語るより実際に物語に「ノる」ほうが、その良さを感じてもらえるのではないかと思います。さぁ、これを読んだあなたも、「俺」の愛車に飛び乗って、イカしたナンバーに身を委ねましょう。