雨と、雲と、風と、騒ぐ人々。
今日は天気が悪い。
初めて洗濯機を使って、干そうとした日だった。
突然空が変わり、灰色に包まれた。私は、無性に悲しくなった。
家には生き物ひとつおらず、一人ぼっちの私だけ。
唯一生き物だと呼べるのは、窓辺の虫の死骸。
けれどもどの子も動かない。
しょうがなく、洗濯物を室内に干すことにした。
ドアに引っ掛けたり、お風呂場のつっぱり棒を使ったり。
やっと片付け終わったかと思って外を見たら、真っ暗闇になっていた。
ゴォオオオオ ゴォオオオオ ドバァアアア ポツ ポツ ポツ ポツ
色々な音が部屋に響いて、戦争が起こっているみたいだった。
雨と、雲と、風と、騒ぐ人々。雨が降るよ、と走り出す。
かわいそうに。私は一人で部屋から眺める。
そういえば、窓を閉め忘れていた。今度は私も走る番。
逃げろ 逃げろ 始まるぞ 警報代わりの雷雨が始まる。
逃げろ 逃げろ 打たれるぞ 胸に響く大砲を鳴らす
逃げろ 逃げろ 風邪引くぞ 子供はもう帰る時間
群青色の空は、今日に限って色がない。
では私は紅茶を入れて、白く光る雷を眺めます。
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