おやすみ、私。そして、生命と世界。

金木犀は散ってしまったが、私の思い出の中には未だ強く、色褪せない輝きと、引き込まれる香りが光を放っている。


あの、星屑の形をした花々は、どこへ消えてしまったのか。元からなかっただけだったのか、何なのか。私には、未だわからず。

私はただ、また魅せてくれる時を待つだけで。あの、夜空から溢れた花びらに触れる時を、想うだけで。


それなのにまた、会いたくなって、ムカつき、ため息、思い出を言葉にしていく。

多くのことを吐き出せば、誰も受け止めないと思うだろう。多くの言葉を思い出せば、私には受け止められないと、思い込んでしまうだろう。本当に、ムカつくものです。だって、全て怖がっていただけだから。きらっ、きらっ、きらっ。


ただただ、言葉を記し、伝え、文を書く。

私は返事を読み、飲み込み、貯めていく。

バカか。貯めてばっかで何になる。

いつか言葉が溢れ出し、受け止められなくなり、吹き出していく。ぷくっ、ぷくっ、ぷくっ。


また、星屑の色彩が頭の隅からちらつき、黄金の花火が打ち上がる。そいつは言葉の洪水でもあって、口紅に塗られた微笑みでもある。黄昏色を香りにしたような散り様で、いつの間に眠りに落ちてしまったり。ちらっ、ちらっ、ちらっ。


今日はどんな日。

つまらなかったくせして、月の輝きが強まる時期には、胸の高鳴りが止まらない日に変わっていった。なんなの、本当に。


明日はどんな日。

それは目覚めた時にわかること。私はただ、時間の波に流されるだけなの。


おやすみ、世界。

おやすみ、私の知っている世界。

明日はおはよう、また世界を感じる。

明日はおはよう、また今日も夢を見る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る