私は、あまり「女々しい」という言葉が好きではない。

百合の花は、私にとっては苛つき、憎しみの対象でしかない。

それは聖母のようでいて、純粋な、処女的なものであるから。

まるで、私は汚れたものを何一つ知らないというかのような、純白の花びら。錆色の花粉のみが、彼女たちを汚すことができる。


蕾が花咲かせたら、花粉の塊を取らないといけないんだ。じゃないと、花びらが、指先が、汚れてしまうから。

窓辺に飾られた彼女たちは、私を無垢な笑顔で笑い、私は静かに貶す。


私は彼女たちが、茶色く花びらを変色される時が、一番美しいと思っている。

枯れた葉のようでいて、それでさえ、美しさを放っているから。羨ましくて、憎たらしい。


きっと、彼女たちには気にしてくれる人がいて、枯れてもなお、愛してくれる人がいるから。いや、それ以上に、彼女たちは自分の美しさをわかっているのだと思う。

ムカつく。


煌めく輝きは、私にはなく、ただただ、無駄な装飾品で固められているだけなんだ。言葉が私を彩り、形作り、見つめる。

私は、何一つ変われない。



個人的に、日記はどんな変なものでもいいと思っている。一文字一文字に段落を開けて書いても、詩でその日を気持ちを表しても、絵だとしても、大丈夫なんだ。


日記は、その人にしか書けないものだから。


自分の人生は、自分で決める。

自分の書く言葉、思うことも、そう。

登場人物には、人生があり、彼らには、彼らの日記がある。

そして、ここに書き記しているものは、私自身の日記である。

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