「大丈夫」魔法の言葉だって信じてる

意味もなく、緊張する時がある。

遊びに行く前の夜、

一週間いなくなっていた母が帰ってくる朝、

バイトの面接へ行く途中の道、

アクションゲームでパーフェクトコンボを出そうとした時、

別に緊張しなくても大丈夫。

大丈夫なはずなんだ。


「私」という人物が、どんな人かと言われたら

泣いている人いたら、「大丈夫」と言いながら、抱きしめてあげる。

そうして、泣き止んだら何も言わずに「きっと大丈夫さ」と立ち去る。

そんなことを頭で考えるけど、いざ泣いている人がいると、何もできない人。

ただ、その人が好きな曲をこっそりと流すことしかできない。

そんな、弱い人。そんな、ダメな人。

そう答えようとして、言えなくて、笑いながら「普通の人」と答える。


大丈夫。

怪我を治すことも、励ます方法も知らない。

その子に必要なものも知らないし、行動にもできない。

それでも、それでも何かしたくて、根拠もなく「大丈夫」と呟く。

本当は自分も大丈夫じゃない。でも、大丈夫。


私は素敵な言葉を知らない。

だから、大丈夫しか知らない。

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