天井から欠けた破片

凄い当たり前なことだろう。

それでもよく考えないと、気付けなかった。

気づこうともしなかった。


私たちの頭上にある空は、昔から変わらない。

どんな歴史的なことがある国で起こっても、変わらない。

どんな悲しいこと、喜ばしいこと、日常だって、上を見上げると空があった。

それは昔からそう。

尊敬する過去の偉人も、文豪たちも。

火炙りをされた女性たちだって、「自分」ではない誰かを演じる俳優だって。みんなそう。

同じ空を見上げ、考え耽る。


気付いたことは、そんなちっぽけで、当たり前なこと。

当たり前なのに、気付けなかった。


あぁ、この空は彼、彼女たちも見たのだな。

私は生きて、彼らも生きていて、見上げていた。


空。


小さい頃、母と下校していた頃。

友人が私の元へ駆け寄ってきた。

母は彼女に話しかけ、私は意味もなく上を見上げた。

本音をいうと、彼女が誰だったのか覚えていない。

空の色とカラオケだけを覚えている。

そして、自分が小さいことも。


空。


今日は嬉しい日だった。

少し、微笑みながら寝てもいいかな?

気持ち悪いなんて、言わないでくれ。


今日は、素敵な金曜日だったから。

おやすみ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る