「当たり前」は存在しない言葉なのかもしれない

よく、小説のネタがないっ!って騒ぐ人がいるけど、私にはよくわからない。

周りを見渡せば、色々な物とか、人とか、思想があって。

どんなものにも物語があると思う。


 例えば、父から貰ったマグカップ。


 ラスベガスへ行った時に、お土産で持ってきてくれたもの。真っ赤で、中心にデカデカと「WELCOME To Fabulous LAS VEGAS NEVADA」と書かれていて、「うわぁ、カジノだよ、これ」って引いてしまうようなもので、アメリカンサイズな大きさ。

 これも、色々と想像できる。


 多分、父さんはカジノへ行ったんだ。有名なギャンブラーとポーカーをして、イカサマをされる。

 所持金がなくなったことへ嘆き、黒服さんたちに裏口から追い出される。

「待ってくれ、俺には妻と子がいるんだ! もうワンゲームだけでもいいか、お願いだ……」と、倒れこむ。


 アメリカの季節は冬。しかも今年は珍しく、雪が降っていた。スーツのまま、追い出された父に、コートがそっと掛けられる。そう、美人救世主が登場。

「あら、そこにいては凍えてしまうわよ」色っぽい鼻にかけるような声で、父に微笑みかける謎の女性。体の形を見せびらかすような、キュッと引き締まった真っ黒なドレス。ゴールドのアクセサリーを身に付け、ルージュと同じフォックスファー付きコートを着ていた。なんて、美しいんだ……父はつい頬を染めかける。

 そこで、彼女の唇の下にあるほくろを見つけ、気づく「あ、あなたはもしかして……」父が最後まで言い切らないまま、唇に真っ赤なマニキュアが塗られた指で塞がれる。

「ふふっ、私の名前は言っちゃダメ。さっ、こっちへおいで。あなたを帰してあげるわ」不敵な笑みを浮かべたまま、女性はブロンドに染められた髪を靡かせ、リムジンに乗り込む。

「さぁ、そこで突っ立ってないで、入って」

 そうして、父は乗り込む。


 リムジンの中は快適な温度に保たれており、掛けてくれたコートを脱いでも平気なほどであった。

「あ、あの……」未だ戸惑う父に、女性は無視してドライバーに英語で会話する。

「私は、あなたのことを支援したいと思っているの。どうかしら?」

「ど、どうして僕なんかを……?」

 父は戸惑っていた。それもそのはず、目の前の彼女の正体が、世界で一位を誇る女性ギャンブラーだったからだ。

「残念ながら、あなたは覚えていないようだけど、私、昔あなたに助けて貰ったことがあるの———」

 女性は昔懐かしむ表情をみせ、言葉を続ける。


だらだらと回想に入り前に、カットっ!

今、例えを出そうとして続きを書こうとしていた……やばいな。まぁ、どんなものでも、物語は作れるのだと思うの。

ただ、それが言いたかっただけ。


なんか、言いたいことが上手く言えなかった気がした……。うーん。

まぁ、いいや。面白かったし。

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