少女のお話
辛いこと、悲しいこと、寂しいこと、嫌なこと。
どれを味わっても、みんなに笑顔を見せる子がいました。
何があったかは言わず、静かにみんなを見守る少女。
そんな少女は、一人で色々な気持ちを隠していたのです。
一生懸命、誰かが頼んだわけでもないのに、溜め込んでいく。
すると、心の隅っこに、嫌な感情が埃のように溜まっていきました。
少女は笑顔を見せても、表情の裏側は涙を浮かべていました。
そうしていくうちに、一人でいると泣くことが多くなりました。
そう。少女の中身は、みんなが知らないうちに壊れてしまったのです。
何をするにも、何を思い出そうにも、何を考えだそうにも。
少女は一人、まくらを濡らすのでした。
母にも言えず、親戚にも言えず、友人にも言えず、先生にも言えず。
相談しようにも、なんて言えばいいのかわかりませんでした。
ある日、少女はいつものように、笑顔を見せながら学校へ行きました。
ですが、楽しくないと思ってしまいました。
笑顔は強張ってしまい、眉をひそめ、目の奥が熱くなりました。
少女はなぜか、泣いてしまったのです。
理由もなく、唐突に泣き出した少女に、友人は優しく抱きしめまいした。
静かに、何も言わず、ただ頭を撫でるだけでした。
そんな友人の行動に、少女は安心しました。
久しぶりに、本当の笑顔を見せることができました。
ありがとう。
少女は友人に言いました。
どういたしまして。
友人が微笑んで答えました。
本当にありがとう。
少女は心の中でもう一度、お礼を言いました。
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