シスターより。わからなくなってしまった。

今日は、疲れた。

勉強も真面目にして、バスケの授業は静かに物語を書きながら、ドリブルの音を聞いていた。




体育館特有の汗の染み込んだような匂い。軽快にボールをドリブルする音が、周囲から響き渡る。「ファール」と呼ぶ声と、シューズの掠る音。ゴールに入らず、残念がる声も微かに聞こえる。

そうして、先生のホイッスル音。「ピーッ」と吹き終わると同時に、辺りの音も止まる。一瞬の静けさ、そして声。「まずはストレッチ」ボールをサイドの転がし、確実散った。その間、タイマーをセットする音と選手たちの深呼吸が静かに波を作る。滑らかで、落ち着く音。先生は選手を眺め、鉛筆を走らせ、思考する。彼と彼を一緒にさせ、あいつは……やはり、そうだな。そう、静かに呟くが、生徒たちには知る由もない。

またも、ホイッスルの音。体育館の中心で、

先生を囲む皆を見渡し、口を開く。


「これからミニゲームを行う」

その声で、選手の瞳が炎を宿す。




「おい、健二」

足元の傷の数を数えていたあいつに、声をかける。寝ぼけた声の返事が返ってきたが、いまだ床に視線を向けている。

「ん……あ、なんだよ」

「何やってんだ? ストレッチしろって、ヤマジが言ってるけど」

「そっか。ここの……傷、いつからあるんだろうって考えてた」

変な奴。そんなこと、俺たちよりも昔からに決まってる。

「知らんし、どーでもいい。もう、ストレッチしようぜ」

それからヤマジが俺たちを睨んでるって言ってやったら、やっとこっちを向いた。

無駄に輝いてる。なんだよ、お前はその瞳で何を見ているんだ。

「わかった」




これだけ書いて、飽きてしまった。



もう、疲れてしまった。

今年は、パニックが何度も起こった年でもある。食べる気が出なくて「食べないと」と無理やり、生きるためだけの食事を摂っていた。


私がカクヨムで小説を投稿したのも、同じ時期だった。

少しでも、穏やかな気持ちになりたかった。

少しでも、泣く夜を無くしたかった。

少しでも、人と関わりたかった。


だから、色々な人からコメントが届いたり、レビューを貰った時、すごい嬉しかった。

私は、ここにいると信じれた。


それなのに、また泣いてしまった。

右手の指はまだ治らなくて、私だけ体育祭に出れなくて。悲しい。

無性に悲しみだけが、押し寄せてる。それ以外はない。



バカは嫌いだ。

恐怖はない。悲しみと哀れみのみ。

私は、大丈夫よ。

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