第24話「一人目覚醒」
「私はスノー星人のスノ。四天王の一人よ」
その女性、スノが名乗った。
「スノー星は極寒の星、そこに住む者達は太陽をも凍らせる特殊な力を持っているわ」
ラッテが解説してくれた。
「って太陽を凍らせるくらいなら、地球なんかあっという間に」
「やろうと思えば出来るけど、そんな事したらかの力を手に入れられないからしないわよ」
スノが言う。
「そうかよ、それは幸いなのか何なのか」
「でもね、こんな事も出来るのよ」
そう言ってスノが手をかざすと
「うわあああ!?」
「にゃああ!?」
俺達はあっという間に氷漬けにされた。
首から上だけ残して、っておい!
兄ちゃんやマウまでもかよ!?
「あ、ちょっと思い出したにゃ~。前はたしかラッテがあいつをやっつけてくれたんだにゃ~」
「え? ど、どうやって!?」
「そこまで思い出せないにゃ」
「なんとか思いだせー!」
「うーん、ダメにゃ」
くそ、なんとかならないのかよ?
「ふふ、思い出すのを待ってあげるわけないでしょ、一人ずつ粉々にしてあげるわ」
スノがそう言って近づいてきた時、
「おい、やるなら俺からやれ」
兄ちゃんがそんな事を言った。
「ええ、あなたは油断ならないからね。それにオークボの、私の愛する人の仇だし」
へ!?
「ちょ、ちょっと待て? あんたとオークボって恋人同士だったのか?」
俺はスノに尋ねた。
「そうよ。悪い?」
「いや、悪くないけど、正直あんたとあいつじゃ美女と野獣」
「たしかに彼は野獣っぽくて頭悪くて乱暴に見えるけど、その心は綺麗で優しかったわ」
「マジで?」
「ええ。でもその彼を殺した……こいつだけは粉々では飽き足らない。魂をも凍らせて二度と転生できなくしてやる!」
スノが兄ちゃんに殴りかかろうとしたその時
「待って! 信一さんを殺さないで!」
ラッテがスノに向かって叫んだ。
「あら? あなたから殺られたいの?」
スノはラッテを睨みつけた。
「信一さんを殺さないでくれるなら……」
「へえ……うん、それならあなたが他の奴等を殺してくれたら考えるわ」
スノは妖しげな笑みを浮かべながら言った。
「う、そ、それは」
「そんな事しなくていい! さあ、さっさと俺をやれ!」
兄ちゃんが叫んだ。
「ふふ、言われなくてもするわ。じゃあ、死んで」
その時、
「おーい、皆私の事を忘れとるだろ?」
え? ああ!?
「全くけしからん者達だな」
弘法大師様がスノと兄ちゃんの間に立っていた。
「へ? あ、あなた誰!? いつの間にそこに!?」
スノが驚き叫んだ。
「ん? 私は最初からここにいたが?」
そうだ。弘法大師様は俺達と一緒にいた。
でも一瞬忘れていた……何で?
「そ、そんな馬鹿な! ここにはたしかに六人しかいなかったはず!? レーダーにもあなたの反応がなかったわよ!?」
「私の事がそんなもので感知出来るわけなかろう。姿が見えなかったのは……まあそれはいいだろう」
え、何だよ?
「あなた只者ではないわね。で、私と戦うの?」
スノそう言うと
「いいや。私は現世の事に手出しはできん。まあ、手助けくらいならできるので、それ」
弘法大師様は錫杖を振りかざすと、ラッテを覆っていた氷が砕け散った。
「え?」
ラッテは何で自分だけ? という表情だった。
「こやつに勝てるのは貴女だけだ。さあラッテ殿、いや」
するとラッテの体が光り輝き……。
「あ、頭に浮かんでくる? 遠き日の事が、そして以前の名前が」
「な、何!? くっ、完全覚醒の前に!」
スノがラッテを再び凍らせようとしたが
「はあっ!」
その前にラッテが気合を入れて手をかざし
「ギャアアアア!?」
凄まじい熱風が起こってスノの冷気を吹き飛ばし、更にスノ自身をも吹き飛ばした。
「そ、そんな、またやられるなんて……一体何なのよ、その力は?」
スノはそう言って気を失った。
その後俺達も弘法大師様に氷から出してもらい、ラッテに話しかけた。
「凄えよラッテ! そんな力があったなんてさ!」
「ええ、これ『神力』というのよね……思い出した。神代の昔から伝わる力、それの継承者が前世の父、そして前世の私、
へえ、前世のラッテは花蘭って名前だったのか。
俺はどんな名前だろうな?
「ああ。花蘭殿はその力で皆と共に戦い……そして自身の妹君の子孫であるラッテ殿に生まれ変わったようだな」
弘法大師様がそう言った。
「はい。前世の妹は生き残った仲間を連れて地球から去っていった……彼女は母を殺された事は後世に伝えなかった。けど仲間が殺されたという事を伝えるのは止めれなかったようです」
それ聞くとなんかなあ。
「……あの、弘法大師様」
「なんだ?」
「もしかして私がいるのがわかっていたから、マウス星人が地球を攻めた際も手を出されなかったのですか?」
え、そうなの?
「先程も言ったであろう。私は現世に直接手出しできないのだ……それより私より信一殿ともっと話しなさい」
「え?」
「宇宙魔王に確実に勝てるとは限らんのだぞ。その時になってまたダメだったと思わないようにな」
「は、はい!」
うん、兄ちゃんが今どう思ってるかわからんけどさ、頑張れよラッテ。
「いや、正直俺もな、最初に会った時から……」
兄ちゃんがボソッと何か言った。
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