第10話「部活」

 部室に着いてドアを開けた。

「あれ? 誰もいないにゃあ?」

 マウが部屋の中を見渡しながら言う。


「いや、もうじき来ると思うよ」

「そうなんだにゃ。で、ここって何するところだにゃ?」

「ん? まあ本読んだり執筆活動したりするところ」

「じゃあ官能小説書いてもいいのかにゃ?」

「それはダメだろが! てかいらん事ばかり覚えるな!」


 え~と、ここは文芸部である。

 決してどっかの超団長様や宇宙人や未来人や超能力者はいない。

 部員は俺と


「あ、もう来てたのね。あら、マウさんもいるの?」

 そこにやって来たのは


「来たか委員長、じゃなかった。ここでは部長だな」

「ここには私達以外誰も居ないわよ。だから名前で呼びなさいよ」

「わかったよ。ならお前も俺を名前で呼べよな、奈美」

「ええわかったわ。政彦」


「ふにゃあ? どういう事だにゃ?」

 マウは俺達の会話を聞いて首を傾げた。


「・・・・・・政彦、あんたまだ話してなかったの?」

 奈美が俺を睨みつけてきた。


「ごめん、忘れてた・・・・・・あのなマウ。こいつは俺のいとこなんだよ」

「にゃあああ?」


 ええと、実は村上奈美は俺の父さんの妹の子供である。

 そして奈美も事情は知っているんだよな。


「政彦も私も特別扱いされたくないから理事長、大叔父さんの身内だってのは隠してるのよね。それと私と政彦がいとこだってのも秘密にしてるのよ。だから普段学校では『石見君』って呼んでるの」


「なんでだにゃ?」

「それは・・・・・・まあいいでしょ。ところでマウさんも部活するの?」

「そうだにゃあ。・・・・・・入れてもらえるかにゃ?」

「ええ。やる気があるならいいわよ」

「やったにゃあ! じゃあ早速政彦のモノをあたしに」

 ドカアッ!

 ドゴオッ!


 俺と奈美はマウの頭を拳骨でどついた。

「てめえは何を言うとんじゃ!」

「このアマいきなり現れて・・・・・・政彦は」

「二人共酷いにゃあ! 冗談なのににゃあ!」


 とまあそんな感じで部活動が始まった。

 と言っても本読んだり何か書いたりとするんだが。

「奈美、何読んでるんだよ? あ、それは」

「ええ、シルフィー先生が書いた小説よ」

「シルフィー先生って、うちの母さんだろが」

 あ、うちの母さんは小説家である。

 ペンネームは「シルフィー」

 何か若い頃から使ってたペンネームらしい。

 母さんはファンタジー小説やらたまに俺には理解できんものも書いてる。


「その理解できんものの方では女神と呼ばれてるのよ、伯母さんは」

 ……そうなんだ。




 ん? マウも何か真剣に読んでるな。

「何読んでるんだ……お、それは」


「このお話って政彦のご先祖様やあのおじいちゃんも出てるにゃ」

 うん、それ父さんが書いたんだよな。


 実は父さんも作家だったりする。

 ご先祖様やたけさんが他の仲間と共に、敵になってしまった真田幸村や十勇士と戦い、そして最後は……ってストーリーなんだよな。

 これはたぶんフィクションだと思うけど、もしかして?


 とまあそんなこんなで下校時間となり、帰り支度をして家路についた。

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