第11話「ただいま~」
そして家に着き、玄関のドアを開けて
「ただいま~」
「ただいまだにゃあ~」
「ただいま帰りました~」
……
「おい、何でお前まで?」
何故か奈美も一緒だった。
「あんた何言ってんのよ。私いつも『ただいま』って言ってるでしょ」
この家は何度か改築してはいるが、江戸時代から先祖代々住んでいるのでここは奈美の母さんも含め、多くの親戚達の実家でもある。
だからか奈美もこの家に入る時は「ただいま」と言って入っているが
「あのさあ、もう遅いから今日は帰れよ」
「帰らないわよ。私も今日からここに住むから」
はい?
「何でだよ?」
「何でって……いいでしょ! うちの両親や伯父さん伯母さんもいいって言ったんだから!」
奈美は少し頬を赤くして叫んだ。
「そうよ。奈美ちゃんにいてもらった方が何かと助かると思ったし」
母さんがやって来てそう言った。
あのなあ。俺が知らんうちに決めるなよ。
「おお、奈美ちゃんいらっしゃい。もう部屋に荷物は届いてるからな」
「伯父さんこんばんは。今日からお世話になります」
あ、今日は父さんいたのか。
うちの父さん、
しかし父さんも白髪は目立つが顔つきは若く見える。
髪染めたら俺と双子かと思うくらいそっくりだって皆言うし。
「ふにゃあ!? 政彦がもう一人いるにゃ!?」
あ、そうだった。マウと父さんは今日初めて会うんだったな。
父さんには事情は言ったが、マウに会いもしないでOK出すなよなあ。
「お、君がマウちゃんか。俺が政彦の父親だ。よろしく」
「ふにゃあ、親子丼もいいにゃあ~、ジュル」
てめえは何を言うとんねん!
と思ってると
「マウちゃん、うちのダンナ取ったら殺すわよ?」
母さんが目に見えるくらいのドス黒いオーラを出しながら言った。
「……ご、ごめんなさいにゃあ」
マウがガクブルガクブルと震えている。
さすがのマウもあれは怖いか、って俺も怖いわ。
奈美も俺の横で震えている。
「優華、俺はお前しか目に入らんから心配するな」
「あ、あなた」
「おーい、いちゃつくのは二人っきりの時にしてくださーい」
俺が二人に向かって言うと
「そうだな。あ、実は奈美ちゃん以外にもう一人ここに住むことになったんだ」
父さんがそう言った、って
「まだ増えるのかよ! ってそれ誰だよ!?」
「今度新しく俺の助手になった子だよ。もうそろそろ来るかな?」
ピンポーン
玄関のチャイムが鳴った。
「お、来たみたいだな。どうぞ開いてるよ~」
ドアが開いて入ってきたのは
「なあ、父さん」
「ん、どうした?」
「この人とどこで知り合ったの?」
「いや、たけぞうさんから『この子は行くところがないから面倒見てやってくれんか?』って頼まれてな。なので俺の助手として働いてもらう代わりにうちに住んでもらう事にしたんだよ」
「へ~……」
そこにいたのは……あのマウス星人のラッテだった。
「あの、ラッテです。今日からお世話になります。よろしくお願いします」
ラッテは行儀よく挨拶した。
なんだこの展開は?
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