第7話「これにて一件落着?」

「だが、まだこの儂が・・・・・・」

 どこからかおどろおどろしい声がする。


 だが


「うるさい黙れにゃ」


 マウがいきなり肉球型の気孔弾を放つと、それが見えない敵に命中し


「ギャアアアーー!? 姿くらい出させろやゴラーー!」

 断末魔の叫びが聞こえた後、敵の気配は消えた。


「・・・・・・本当に姿くらい出させてやったらよかったのに。作者の手抜きと思われたらどうすんだ」

 政彦が呆れながら言うと


「手で抜くのはあたしが政彦にやってあげるにゃ♡」

 マウが舌なめずりしながら言った。


「あのなあ・・・・・・」



 そして二人が地上に降りると、真っ黒焦げになって倒れている武蔵とラッテを見つけた。


「こ、これはいったい? それにこの河童って?」

「にゃ?」


 すると武蔵は河童から人間、たけさんの姿になった。

 黒焦げのままであるが。


「え!?」

 政彦とマウはたけさんに駆け寄った。

「このおじいちゃん、どうやら敵と相打ちになったみたいだにゃ」

「そうか。たけさん・・・・・・安らかに」

 二人がたけさんに向かって手を合わせた時


「勝手に殺すでないわ」

「ギャアアアーーー!?」


 なんとたけさんが起き上がった。


「い、生きてたのかよ!?」

「もちろん、と言いたいところじゃが今度ばかりはわしも死んだと思うたのに、何でじゃろな?」


- ・・・・・・拙者にも何故なのかわからん -

 

 彦右衛門が遠くで呟いた。


「う・・・・・・」

 ラッテもどうやら生きていたようで、起き上がると政彦達の方を向いた。

「おいあんた、まだやるのか?」

 政彦はラッテを睨みながら言った。

「・・・・・・いえ、我々の負けよ。さ、煮るなり焼くなり好きにして」

「おお、ならわしがその乳を・・・・・・ぐふう!?」


 政彦は無言でたけさんを剣の鞘でどついてから


「おいあんた、逃してやるからとっとと自分の星に帰れよ」

 ラッテにそう言った。


「自分の星? ・・・・・・フフ、そんなのとっくに無くなってるわ。だから我々は新たな母星にと思ってこの地球を侵略しに来たのよ」

「そうだったのかよ。てか何で地球なんだ?」

「地球は確認されている限り、全宇宙で最も環境の良い星なのよ」


「環境破壊してる星が、かよ」

「私達の科学力があれば元通り以上になるわ」

「だったらさ」

「言いたいことは分かるわよ。けどね、他の星を地球と同等以上にするには現在の科学力でも一万年かかるのよ」

「そうなのかよ……なあ、侵略する前に話し合いでもして、どっかに住まわせてもらえばよかっただろが?」

「祖先とて初めから武力行使しようとした訳じゃないわ。だけど誰も話を聞いてくれず向こうから攻撃してきたみたいね。だから……」


「もういいわ。私も仲間の元へ行くことにするわ」

 ラッテはそう言って銃口を自分のこめかみに当てた。


「ちょっと待つにゃ」

 マウはラッテに話しかけた。


「な、何?」

「・・・・・・よ~くみると美味しそうだにゃあ、ジュル」

「へ?」

「にゃあ~、食べちゃお」

「何!? おいマウ、いくらそいつネズミっぽいからってそれは・・・・・・って何しとんじゃーーー!?」

 マウはいつの間にかすっぽんぽんになっていた・・・・・・そして


「にゃあーーー!」

 マウはラッテを押し倒した。


「ええ!? あ、ちょ、やめ・・・・・・ああ~♡」

 そこに百合の花が咲き乱れた。




 それからどのくらい経ったか・・・・・・


「あ……♡」


 ラッテは涎を垂らして虚ろ目になっていた。


「ふにゃ~、ごちそうさまだにゃ」

 マウは満足そうだった。

「・・・・・・てめえなんでもありかよ?」

 政彦は鼻を押さえながらマウに言った。

 彼も健全(?)な青少年なので、見ちゃイカンと思っても見てしまっていた。


「にゃあ、あたしは可愛ければ何でもいいにゃ。さ、政彦。約束の」


 政彦は無言で持っていた剣を抜いた。

「みゃ!? ま、政彦もあたしを騙すのかにゃーーー!?」

 マウは後ずさって叫んだ。


「浮気症の奴などお断りだ! 愛するなら俺だけを、って何言ってんだ俺は!?」

 政彦は自分でもよくわからんことを口走った。


「にゃ・・・・・・わ、わかったにゃ! もう他には手を出さないから早く祝言あげ」

「マウちゃんや、残念だがそれはまだ無理じゃ」

 たけさんが話に入ってきた。


「ふにゃあ!? な、なんでにゃ!?」

「この国の法律ではのう、十八歳以上じゃないと結婚できんのじゃよ。政彦は今十六歳じゃな? それならあと二年待たんとのう」

「そんなの人間が勝手に決めた事、あたしには関係ないにゃあーーー!」

「政彦はこの国に生きる人間なんじゃ。だからお前さんが合わせてやれ」

「プギャーーー! 嫌にゃあーーー!」

 マウが牙を出して吠えると


「あのさ、マウとは今日会ったばかりなんだからいきなり結婚なんて無理だよ」

 政彦は真剣な目つきで言った。


「・・・・・・にゃあ、そんな」


「だからさ、最初は友達からでいい?」

「え?」

「ダメ?」

「う、ううん! それでいいにゃあ!」

「じゃあこれからよろしく、マウ」

 政彦はマウに握手を求めたが


「にゃあ!」

 マウは政彦のほっぺを舐めた。

「うわあ!?」

「今はこれで我慢するにゃあ。あ、こちらこそよろしくだにゃ」

 マウは満面の笑顔で言った。



「ほっほ。これにて一件落着かの」

 たけさんが二人を微笑ましく見ていた。




 さて、二人はこの先どうなっていくのだろうか。

 だがとりあえずこの物語は・・・・・・


 

 まだまだ続く。

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