第14話「新たな敵にゃ」

 政彦は風呂場でのぼせてしまったのをマウが部屋に担ぎ込んだ。


 その際にマウは政彦と(ズキューン!)しようとしたのを奈美に止められたり、その隙にラッテはマウの下着を盗ってその匂いを嗅いでいたり・・・・・・


 とまあなんだかんだとあって朝になり、全員眠そうな顔で朝食を済ませて登校していった。



 教室にて

「うう、まだしんどい」

 あの女共がドタバタしてたから寝れなかっただろうが。


「政彦、どっか具合でも悪いの?」

「ん? ああちょっとな」

 そう言ってきたのは友達の一条光いちじょうひかるだ。

 小学校の時からの付き合いで、俺と奈美がいとこだって事も知っている。

 

 しかし光は昔っから女の子みたいな顔で仕草もそれっぽくて、なんか男の娘って感じだな。

 だからか女だけじゃなく男にもモテる・・・・・・


「おーい、僕は政彦だけのものだからね」

「誤解を招く事言うな」

 こいつよく冗談でこんな事言いやがる。

 本気にされたらどうすんだよ。


「・・・・・・本気なのに」

 そう言って光は顔を近づけてきた。

 おい・・・・・・マジか?


「冗談だよ。あはは」

 光はそう言って笑い出した。

 ってか真顔で冗談言うな!


「うん、冗談だよ・・・・・・」




 そして授業が始まり、なんとか居眠りすることもなく放課後を迎えた。

 さて部室へ行こうか、と思ったら

「お~い石見、ちょっといいか~?」

 入谷先生が声をかけてきた。

「はい? 何ですか?」

「後で理科室に来てくれないか? ちょっと手伝って欲しいんだよ」

「・・・・・・あの、もしかして俺を実験と称して爆破する気」

「違うって。まあ時間は取らせないからさ。頼むよ」

 先生は手を合わせて頼んできた。


「う~ん、わかりました」

「にゃ? じゃああたしも政彦と一緒に手伝うにゃ」

 マウが手をあげてそう言った。


「マウは先に部室へ行ってて。俺だけで充分だと思うし」

「そう・・・・・・思えばそれが政彦の最後の言葉だったにゃ、シクシク」

 マウはわかりやすい嘘泣きをした。

 おい、お前何に影響された?


「それじゃ後でな」

 そう言って先生は先に行った。


 その後俺も理科室に行った。

 標本やら実験器具やらいろいろ置いてある。

 しかしいつ見ても人体模型は・・・・・・


「お、来たか」

 先生が部屋の隅から声をかけてきた。

「あ、先生。あの、俺何すればいいんですか?」

 俺が先生に聞くと

「何って? ナニをするんだよ」

 そう言って先生がいきなり覆いかぶさってきた。

「ちょ、先生!?」

「フフフ・・・・・・あたしね。前からあんたの事を」

 先生は妖しい笑みを浮かべながら言った。


「せ、先生!?」

「・・・・・・フフ」

「!?」


 俺は先生を突き飛ばした。

 先生から何か違うモノを感じたから・・・・・・


「チッ、せっかくいい気持ちにしてあげてから殺してあげようと思ったのに・・・・・・まあいいわ、殺して母星に持って帰ってからペロペロしてあげるわ」

「!?・・・・・・まさか先生は?」


「この体は入谷千代本人。あたしはこの体に寄生してるのよ。あたしは」


「寄生宇宙人ウイル星人よね」


 理科室の入口の方から声がした。

 そこには元の姿に戻ったラッテとマウがいた。


「他の異星人に寄生してその星を侵略して種族を残す連中・・・・・・地球に来てたのね」

 ラッテはそう言いながら入谷先生、いやウイル星人を睨んだ。


「あら? マウス星人が地球人の味方するの?」

 ウイル星人がラッテを睨み返しながら言った。


「ええ。私なんだかんだで地球人が気に入っちゃったし」

「そう。なら一緒に死んでもらうわ。あんた達がいると侵略の邪魔だし」

「ふにゃー! お前一人で何ができるにゃー!」

 マウが叫ぶと


「一人? ・・・・・・フフ、そんなわけないじゃない」

「え?」

 ウイル星人がそう言った時


「な!? 皆・・・・・・」

 いつの間にかクラスメイト達がそこに来ていた。

「もしかしてクラスの皆も?」

「そうよ。寄生できなかったのもいたけど」

 え?


「ちょっと離してよ! 皆どうしちゃったのよ!?」

「皆! 正気に戻ってよ!」

 あ、奈美!

 それに光も!?


 見ると奈美と光が他のクラスメイトに捕まっていた。


「村上奈美はまだわかるんだけど、何故一条光に寄生できないのかしら? けどいいわ。ここで死んでもらうし」

 奈美はわかる?

 何でと俺が思った時、頭の中で声がした。


- それはな。奈美もお主程ではないが眠っている力があるからだ。彼女も拙者の子孫だしな -


「あ、彦右衛門様!?・・・・・・そうだった。あれ、じゃあ光は?」


 それは後で本人に聞けばいい。

 だが聞けば驚くぞ。


「え、何? まさか父さんの隠し子だとか?」


 アホか! あやつは奥方一筋だ!

 見ているこっちが恥ずかしいくらいのブラブラだ!


「彦右衛門様、それを言うならラブラブです。江戸時代の人が無理しないでください」


 ・・・・・・はっ!?

 ま、まあそれはいいとして。 

 政彦、まずは奈美と光君を助け出せ。

 マウ殿やラッテ殿もいればできるであろう。


 はい! 


「よしマウ、ラッテ! 奈美と光を!」

「ええ!」

「わかったにゃ!」


「させるもんか!」

 入谷先生に寄生してるウイル星人が襲いかかろうとしたが

「あんたの相手は俺だ!」

 俺は身構えてそう言った。

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