第5話「呼び捨てにしてほしいにゃ」
「あ、あと5分・・・・・・くそ、何か手は」
政彦がそう呟いた時
- 手ならある -
「え、誰? あれ?」
どこからともなく男性の声がしたが、姿は見えなかった。
- 政彦、これをとれ -
声の主がそう言うと政彦の目の前に光輝く日本刀が現れた。
「あ! これもしかしてうちにあった家宝の刀!?」
ー そのとおりだ。それについてはお主も聞いているだろ? ー
「うん、先祖の彦右衛門様が使ってたって・・・・・・これ、たしか妖魔って悪いものを斬る剣だとも」
ー それもあるが、その剣を抜くとお主が持つ力が解放されるであろう ー
「そ、そうなのかよ!? だったら早く出してよ!」
ー あのなあ、拙者の子孫のお主がそれを肌身離さず持っていたら、拙者は助言するだけで済んだんだが ー
「今の時代こんなの持ち歩いてたら警察に連れてかれるわ!・・・・・・ん、子孫って・・・・・・あ、あなたはまさか!?」
- やっと気づいたか。そう、拙者はお主の先祖、石見彦右衛門だ -
声の主、石見彦右衛門が名乗った。
「ご、ご先祖様・・・・・・」
政彦、早くそれを抜け。・・・・・・さもなくばお主が抜かれるぞ。
「はい? 抜かれる?」
お主鈍すぎだ・・・・・・下を見ろ下を
そう言われた政彦が下を見ると
「・・・・・・おい、何しとんじゃ」
「あ? 気づいたにゃ~もう少しだったのに」
マウは政彦のトランクスをずらし、今まさにアレを咥えようとしてたところだった。
「お、の、れ、はーーーー!!」
政彦は怒りながら勢い良く剣を抜いた。
すると刀身が眩い光を放って政彦を照らした。
「うわあああーー!?」
「な、何あれ!?・・・・・・え、解析不能!?」
ラッテは腕につけていた異星のデータなどを調べる機器を見たが、このような現象はデータにないようだった。
そして光が収まると
「あ・・・・・・俺の体からなんか凄い力が。それにこれ」
政彦はいつの間にか羽織袴を着ていた。
それは昔拙者が着ていたものだ。
お地蔵様の法力で防御力はかなりのものになっている。
さあ、早くマウ殿と共に。
「は、はい! さ、マウさん!」
政彦が声をかけると
「にゃ~、いいけどちょっとお願い聞いてくれるかにゃ?」
マウはおねだりポーズでそう言った。
「は、何だよ? ペロペロは後で」
「違うにゃ~、あたしの事はマウって呼び捨てにしてほしいにゃ、今はそれだけ」
「はい? マウさ・・・・・・いや、マウ。これでいいの?」
「いいにゃ! さ、行こ政彦!」
マウは嬉しそうに言うと政彦の手を取って勢い良く飛び上がった。
「わああああ!?」
「あ!? くそ、全員後を」
ラッテがそう言った時
「そうはさせんわい」
いつの間に回復したのか、たけさんがそこに立っていた。
「ふん、あんたも厄介な存在には違いないが、我々に適うとでも?」
ラッテ達は臨戦態勢になっていた。
「ほっほっほ、お前さん等、これは知っとるかのう?」
そう言うとたけさんは懐から掌に収まる大きさの翡翠の人形を取り出した。
それは河童のように見える。
「何それ? データにないわね」
「そうかいな、じゃあ今見せてやろう・・・・・・雨風と戯れ土木と語らい天地水流の力を従えし我が力よ、今再びこの身に宿れ!」
たけさんがそう叫ぶとその体が光輝いた。
「な、何だと・・・・・・え、嘘、戦闘力が計測不能!?」
光が収まるとそこにいたのは・・・・・・
緑色の体に背には甲羅、頭に皿があり金色の髪でやたらイケメンな河童だった。
「我が名は
たけさんこと池免武蔵。
彼の正体はかつて彦右衛門と共に妖魔と戦った大河童であった。
(今のおれじゃこの姿でいられるのはほんの僅か・・・・・・彦右衛門さん、おれもそろそろそっちに行くよ)
武蔵は心の中で彦右衛門に語りかけた。若き日の口調で。
「さあ来い! 皆まとめてやっつけてやる!」
武蔵はそう言って身構えた。
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