第2話「ムコになってくれればいいにゃ」

「え?」


 政彦は目をぱちくりとさせた。

 

 もしかしてこいつが?

 いや、どう見てもただコスプレしてるJCにしか見えんが?


 と、政彦が思っていると


「ふに~、あ、あんたがこれ開けてくれた人だにゃ?」

 少女は可愛らしい声で政彦に尋ねた。

「あ、ああそうだよ」

「ありがとにゃあ~!」

 そう言って彼女は政彦に飛びついて彼の顔を舐め出した。

「ふにゃ~ペロペロ」

「うわああ!? な、何すんだよ!?」

 政彦は顔を真っ赤にして叫んだ。

「お礼だにゃあ。あ、顔よりおち(ズキューン!)舐めたほうがいいかにゃ?」

「アホかー! 何言うとんじゃあんたはーーー!」

 どうやらこの少女は変態のようだ。


 すると黙って見ていたたけさんが前に出てきて

「のうお嬢ちゃんや、わしにもペロペロしてくれんかのう」

 何かエロそうな顔で言ったが

「ヤダ、だってあんたあたしを出そうと思えば出せたはずなのに、してくれなかったから嫌いだにゃあ!」

 少女はそう言ってぷいっと横を向いた。

「そうは言ってものう、あんたはかつて大暴れしたとか聞いてたからのう」

「それはあのおじさんがご褒美くれなかったからだにゃあ」

「天子様をおじさん呼ばわりするでないわ、このたわけが!」

 たけさんは少女に向かっておもいっきり怒鳴った。


「な、なあ、いったい何を褒美にって言ったんだ? 何かあんたが無理難題を言ったって伝わってんだが?」

 政彦が少女に尋ねると

「にゃ? 国一番の幼い美少年とにゃんにゃんペロペロさせろって言ったんだにゃ。でも国一番の美少年って自分の息子だからダメって言うしにゃ」

 どうやらこの少女、ショタコンでもあるようだ。


「・・・・・・まあ、いいか悪いかは置いといて、せっかく苦労して脅威を払ったのに約束破られたらそりゃ怒るわな」

「そうだにゃ。だからあたしが怒って町中で大暴れしてたらにゃ、どこからともなくやって来た空海とかいう坊さんに封印されちゃったにゃ」

 空海?

 あの~、この妖怪を封印できるなら最初から自分で星の脅威を払えばよかったんじゃないですか? 弘法大師様。


 政彦がそう呟くと

「そりゃ敵との相性が悪かったとかじゃないかの? いかに弘法大師様でもそういう相手はおったじゃろうて」

 たけさんが答えた。

「そうなのかな?」

「まあ憶測じゃがの。ああ、それはそうとわしは池免武蔵というんじゃ、で、こっちは」

「あ、俺は石見政彦、あんたの名前は?」

「あたしはマウっていうんだにゃ」

「マウ、か。あのマウさん。お願いがあるんだけど聞いてくれる?」

「何だにゃ?」

「今この地球はね」

 政彦は事情を話した。




「というわけなんだよ。もうマウさんだけが頼りなんだ。お願いします」

 政彦は頭を下げてマウに頼んだ。

 不安な気もするが他にアテはない、と思って。

「ふ~ん、じゃあご褒美くれるかにゃ?」

 マウはおねだりのポーズを取った。

「えっと、また国一番の幼い美少年?」

 どうしよう、そんなのどこにいるか知らんぞ。

 ってか知ってても人としてそれは


「違うにゃ。それでまた誰かに封印されたら嫌だから別のにするにゃ」

 お、ちょっとは懲りてんだ。


 政彦はほっとした。

「えと、じゃあ何を?」

「え~とね。政彦があたしのムコになってくれればいいにゃ」

 マウはにっこり微笑みながら言った。


 うんうん、俺がマウさんのムコになれ・・・・・・


 ・・・・・・って


 な・・・・・・


 なんじゃそりゃーーー!?

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