第4話 アイカツおじさんと5thフェスティバル!! DAY2

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※この物語は、事実を基にしたフィクションである。


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2018年9月9日(日)、午前10時30分。


この時、権助は「アイカツ!シリーズ 5thフェスティバル!! DAY2」の会場である幕張メッセ……ではなく、渋谷に居た。せっかく東京まで出てきたのだから観光でも……にしてはこの男、ハチ公像やスクランブル交差点とは正反対の南側を歩いている。歩道橋を渡って首都高3号渋谷線をくぐると、道路沿いの歩道に行列ができているのが見えた。


「あそこか」


最後尾に並ぶ。列の先には、ビルの地階へと続く入口。ここは渋谷RUIDO K2。2003年にオープンした、スペイン語で「音」を意味する名前のライブハウスである。入口の前には一基のフラワースタンドが届けられていた。


”祝 御出演 巴山萌菜≠Re:versed様”


今日はここで、かつてSTAR☆ANISとAIKATSU☆STARS!で歌唱担当をしていた”もな”こと巴山萌菜(Re:versed)のワンマンライブが行われるのだ。権助は地元・大阪で行われるライブには毎回顔を出すようにしていたが、東京では初めての参戦である。


もぎりのお姉さんにチケットとドリンク代を手渡し、階段を降りる。キャパは200人ほどだが、上階まで吹き抜けになっているおかげで、あまり狭さは感じない。ステージの高さも70cmほどあり、後方からでも演者が見やすい構造となっている。


「あ、権俵さんおはようございます」


と、権助に声を掛けてきたのはキラキラッター仲間の天津飯さん。彼らのように『アイカツ!』時代から応援を続けるフアンは数多い。その中でも特に熱心なのが。


「これ、どうぞ。新曲の時につかってください」


そう言って、権助たちに赤色のサイリウムを差し出したのは、彼の胸ほどまでしか背丈の無い、小学生の女の子。その髪には、巴山萌菜が歌唱担当をしていた『アイカツ!』のアイドル、氷上スミレと同じ青いリボンが飾られていた。


「いつもありがとうね」


それは、以前に梅田のストリートライブで見かけた『アイカツ!』好きの女の子だった(*1)。おそらく家族みんなで『アイカツ!』時代からの巴山萌菜の大ファンなのだろう。こうしていつもライブを盛り上げる用意をしてくれている。その子はひとしきりサイリウムを配り終えると、自然に開けられた道を通って最前列へ。『アイカツ!』無料ミニライブイベントで叩き込まれた「子供最優先」の教えはここでも生きているのである。


(*1:第二部 第2話「アイカツおじさんと2つのスタートライン」参照)


開演時間。照明が落ち、スポットライトがステージ上の巴山萌菜を浮かび上がらせる。一曲目は、CHiCO with HoneyWorksの「世界は恋に落ちている」。艶やかな黒のドレスで恋の歌を唄うその姿は、『アイカツ!』時代からの透き通った歌声の上から、さらに大人の魅力を重ねていた。


いつものライブよりも最低限のMCで、次々とセットリストが進んでいく。アニソンカバー曲と、自身が歌うドラマ『賭ケグルイ』の主題歌を始めとしたオリジナル曲とを織り交ぜながら、あっという間の一時間半。最後の曲が終わると、あの小学生の女の子が真っ先に叫んだ。


「アンコール! アンコール!」


その声に呼ばれて再び登壇した巴山萌菜が歌ったのは、新曲「A.(アンサー)」。同時に、真っ赤なサイリウムの光がライブハウスを包み込んだ。


「アンコールありがとうございます! この『A.(アンサー)』は、シャボン玉をイメージした曲なんです。私とシャボン玉と言えば、『アイカツ!』時代に歌った『Poppin' Bubbles』という曲があって、だから、この曲は同じクラムボンのミトさんに作曲していただいたんです」


観客たちからオオ……と声が漏れる。卒業した今もなお『アイカツ!』は絆を繋いでいるのだ。


「これから物販がありますが、今日このあと幕張へ向かわれる方はお急ぎだと思うので、先に並ばせてあげてくださいね! ご協力お願いします!」


そう、異例の午前開演も、いつもより駆け足のMCも、すべてかつての仲間が集うイベントに間に合わせてあげるためだった。そして「お見送り曲」として、場内に「オトナモード」や「いばらの女王」といった、彼女が『アイカツ!』時代に歌った曲が流れ始めた。これは、彼女が二年以上ソロで活動を続けてきて初めてのことだった。


「新曲、とても良かったです」


権助は物販で巴山萌菜のイメージキャラクターが描かれた缶バッジを購入して感想を伝えた。


「ありがとうございます! その子も一緒に連れていってあげてくださいね!」


その言葉を受け取り、権助たちキラキラッター組は幕張メッセへと急いだ。


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「なんとか間に合いそうですね」


同日・午後14時過ぎ。権助たちは渋谷を出発し、JR東日本・京葉線に乗り込んでいた。幕張メッセ最寄りの海浜幕張駅が近づくにつれ、徐々に車内には『アイカツ!』グッズを身に付けた人の姿が目立ってきた。


「物販は後日通販で対応してくれるみたいですし、昨日よりは楽に入れそうですね。……おっ、着きましたよ」


駅を出ると、昨日に引き続いて秋とは思えぬ暑さと日差しで、早速汗が噴き出してくる。幕張は本日もお祭り日和である。時計を見ると、開場までちょうど30分。権助は昨日と同じ、メッセの赤い屋根の下へと向かった。


「クルクルさん、マスゾエさん、今日もよろしくお願いします~」


「ども~」


その場には、既に十数名のキラキラッター住人たちが集まっており、各々『アイカツ!』談義に花を咲かせたり、名刺代わりのマイキャラカード交換を行ったりと交流を楽しんでいた。


「いや~昨日のメンカツ(*1)もヤバかったけど、今日のメンバーも絶対ヤバいでしょ~!」


(*1:男子によるアイカツ!のこと)


「ですな~!」


「また、うっすんにボロボロにされるのか……」


各々がこれから始まるイベントへの期待感を口にしていると、定刻通りに入場が始まった。昨日の教訓を活かした素晴らしくスムーズな開場である。


「ほな、また後で!」


「生きて帰ってこいよ!」


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本日の権助の座席は二階のJグループ。ステージに向かって右側から観覧する形になるが、舞台までの距離は昨日よりも近い。着席して待っていると、昨日と同じくアイドルたちによる影ナレが始まった。今日は速やかな入場のおかげで最初から聴けたことに満足しつつ、開演を待つ。すると、影ナレに続いて今度は客入れ曲が始まった。


(これは……『きらめきメッセンジャー』!(*2))


(*2:第四部 第3話「アイカツおじさんとステージに咲くふたつの華」参照)


今朝の巴山萌菜ライブからのバトンもしっかりと繋がっている。まさに全員参加の総力イベントである。


そして、再び祭りの幕が上がった。


「アイカツ!シリーズ5thフェスティバル!! はじまります!」


まず先陣を切った曲は昨日と同じ『SHINING LINE*』……だが、今日は歌唱担当せな も加わり、『アイカツ!』『アイカツスターズ!』の主人公が勢揃いしている。そう、DAY1とDAY2では登壇者が違う……つまり、必然的に演目も変わってくるということだ。『Move on now!』や『MUSIC of DREAM!!!』といった、昨日とはまた異なるセットリストや、新たに書き下ろされた生ドラマなど、これだけ長尺のイベントを二日間やれる……いや、それでもまだまだやり足りない、というところに『アイカツ!』の歴史の長さが感じられる。


そして、いよいよ昨日も最高に盛り上がったライブパートへ。


『オリジナルスター☆ミ』『Blooming♡Blooming』『カレンダーガール』に続き、『アイカツフレンズ!』の主題歌『ありがと⇄大丈夫』。その2番に差し掛かった時にそれは起こった。


『アイカツフレンズ!』の声優と歌手を兼ねる松永あかね・木戸衣吹の後ろから、『アイカツ!』主人公の歌唱担当わか・るかと、『アイカツスターズ!』主人公の歌唱担当せなが現れ、全シリーズの主人公の共演が実現したのだ。


(ああ、そうか……そういうことか……!)


実は、この5thフェスの出演者が発表された時、『アイカツ!』フアンの間で物議を醸した問題があった。それは、あの武道館で卒業した元・歌唱担当を、わずか半年後にイベントで歌わせるのはどうか、ということである。


権助は、もう二度と生で聴けないと思っていた『アイカツ!』『アイカツスターズ!』の歌がまた聴けるというだけで十分だったが、一方で「あの時の涙はなんだったのか」と考える人がいるのもまた理解できた。しかし、この『ありがと⇄大丈夫』での共演で、その意図をようやく理解したのだ。


かつて、世界観の異なる『アイカツ!』と『アイカツスターズ!』がコラボした時に、大空あかり役の声優・下地紫野は言った。


「いちごちゃんは直接あかりにバトンを渡したけど、あかりは直接誰かにバトンを渡したっていう描写が無かったから、コラボ回で渡せたような……印象に残っています」(*3)


(*3:第五部 第3話「アイカツおじさんとはじめてのフレンド」参照)


シリーズを跨いで意思を継承する。


それは、歌唱担当という制度から、声優による歌唱へと切り替わるこの時にこそ必要な儀式。


(歌のバトンが、今日やっと渡せたんだ……!)


そう、これまでの歌唱担当グループから『アイカツフレンズ!』キャストへの「歌のバトンの継承」は、まだ『アイカツフレンズ!』が始まっていない半年前の武道館では決してできなかった、この5thフェスで共演してこそ初めて実現できることだったのだ。


「私、わかさんに女の子ジャンプを教えてもらったんです!」


と、松永あかねが内股でピョンっと高く跳んでみせた。


「うちのあかねにアイドルジャンプを教えてくださって、ありがとうございます!」


『アイカツ!』の わかに、『アイカツフレンズ!』の木戸衣吹がお礼を言う。これから先、この「アイドルジャンプ」を見る度に、我々は今日のことを思い出すのだろうな、と権助は思った。


そして、この曲をきっかけに、アニメのアイドルと声優、歌唱担当の三人四脚で歌う『Precious』『Dreaming bird』から、卒業した歌唱担当の分まで声優が受け継いだ『アイドル活動!ver.Rock』『薄紅デイトリッパー』『硝子ドール』と続き、最後に声優が歌唱を兼任する『アイカツフレンズ!』メドレーへと繋ぐ美しいバトンの継承が完成した。


「今から、みんなのところへ行くよー!」


『アイカツフレンズ!』メドレーのトリを飾ったのは、作品を代表する曲『アイカツフレンズ!』。キャスト全員が歌いながら二階席の前方へと上がっていく。そこにいたのは、『アイカツ!』が大好きな子供たちと、その親御さん。テレビから飛び出してきたアイドルたちに目を輝かせながらハイタッチをする子供たちと、それを後ろから見守る大人たち。かつてショッピングモールの小さな無料ライブで見たその光景は、どんなに大きな舞台になっても変わらぬ『アイカツ!』らしさだった。


(ああ、この幸せな景色が好きなんだなぁ……)


そんな『アイカツ!』らしさのバトンは、こうして新たな世代へと繋がっていった。


イベントもいよいよ終盤。


ゆめ・小春のデュエット曲を「六人七脚」で歌った『Message of a Rainbow』に、歌詞中のセリフ部分に念願の生アフレコが実現した『Pretty Pretty』と続き、そして歌唱担当・るか と声優・下地紫野のデュエットによる、『アイカツ!』最後のオープニング曲『START DASH SENSATION』。


るかは、この曲を歌う時、その思い入れの強さからいつも泣いてしまっていた。


過去には、歌えなくなった るかを数千人のフアンたちの合唱で助けたこともあった。


そんな彼女が今、満開の笑顔で、初めて大舞台でこの曲を歌う下地紫野を優しく導くように歌っている。今の彼女に、もう涙は無かった。


そのバトンは、初代主人公・星宮いちごと、声優・諸星すみれと、歌唱担当・わかへと手渡される。


三人で歌う『輝きのエチュード』。


諸星すみれとわか が、歌いながら背中を合わせた。それは紛れもなく、『輝きのエチュード』のCDジャケットに映る星宮いちごの姿そのものだった。


♪ 熱く確かな世界 動き始めた

  そうだ私の世界 夢は運だけじゃなくて心のチカラ

  Ah! だから逃げちゃダメだよ


♪ さぁ! 行こう 光る未来へホラ 夢を連れて


ラストは、明るく『ダイヤモンドハッピー』と『アイドル活動!』。気付けば27曲という怒涛のライブを持って、記念すべき5周年イベントは締め括られたのであった。


最後の挨拶。


「木村監督、始まった時は五年も続くなんて思ってなかったですよね」


『アイカツ!』現場を引っ張って来たレジェンドアイドル・神崎美月役の寿美奈子が、関係者席に座る監督に優しく微笑んだ。それは、権助も同じ気持ちだった。それが今では、あと五年、十年と続いてほしいと心から願っている。きっと他の数千人のフアンたちもそうだろう。


それから順番に挨拶を行い、マイクが歌唱担当るか に手渡される。


「はい、るかです! それでは……」


「ちょっと待ったーーーーーーーーーーーーーーー!」


いきなり制止したのは、るかと同じく大空あかりを担当する声優・下地紫野だった。突然のことに、るかがキョトンと目を丸くする。


「今日は何の日ですか? そう、るかさんのお誕生日です! みんなでお祝いをしましょう~!」


その提案に、キャスト全員と会場に集まった数千人によるハッピーバースデーの大合唱。恐らくみんな思っていたことだろう。ああ、結局、今日も泣かせてしまったなと。


マイクのバトンを最後に受け取ったのは、もちろん。


「はい、諸星すみれです。えっと………………」


いつも流暢に喋る彼女が、珍しく言葉に詰まった。


「…………ごめんなさい、客席のお母さんと目が合ってしまって」


視線の先には、娘の晴れ舞台を見に来た母の姿。


彼女の「すみれ」という平仮名の名前は、母が付けた本名である。彼女は生まれた時に右半身に麻痺があり、もし麻痺が残ってしまっても、左手だけで自分の名前が書けるように……との思いから付けられた名前であった。そんな彼女が、今ではこんな大舞台にも立てるようになった。


沈黙のあと、出てきた言葉は。


「お母さん、産んでくれてありがとう!」


そして。


最後は会場の全員で。


「せーので、アイ……」


”カーーーーーーーーーーーーーーーーーー……………………………!”


皆が息の続く限り叫んだそれは、いつまでもいつまでもこのイベントを終わらせたくないという気持ちの表れに思えた。


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「はぁ~~~~~~……やばすぎるでしょこれ!!」


「いや、凄すぎて言葉が無い……」


再びメッセの赤い屋根の下に集まったキラキラッター住人たちは、ある者は惚けた表情で、ある者はテンション高く、口々に感想を呟いていた。


「はぁ……最高のイベントでしたね……あと、なんというか、その………………おなか空きましたね」


「……せやな」


思えば、四時間近くもペンライトを振ったり声を出したりなわけで、皆カロリーを大量に消費していたのだった。ここでひとまず、地元民や千葉のホテルに宿泊するメンバーと、東京へ戻るメンバーとに分かれ、各々の帰路につくことになった。権助は、同じ方向へ向かう天津飯さん、クルクルさん、マスゾエさん、いかぽんさんの四人と一緒に行動することになった。


「とりあえず、海浜幕張駅から東京まで戻って、それから晩飯考えましょうか」


「ですね~」


権助とクルクルさんがそんな相談をしている時だった。


「えっ!?」


スマホを見ていたいかぽんさんが、あるニュースに驚いて声を上げた。


「あの……」


「ん?」


「…………京葉線、動いてないって」


「は?」


「ちょうど、5thフェスティバルが始まった頃に鉄橋で白煙が上がって、それから今もずっと運行中止してるって……」


そう、この日の午後三時半頃、京葉線の新木場-葛西臨海公園間の下り線の鉄橋上で、線路付近から煙が出ているのを乗務員が見つけた。煙はいったんは消し止められたものの、その後ふたたび火花が確認されたため、東京-南船橋間、西船橋-市川塩浜間の上下線で終日、運転を見合わせたのだった。なお、この運休は翌日まで続くことになる。


「まじか」


「まさか、オレらがイベントでボロボロ泣いてる間に下界がこんなことになってるとは……」


「とにかく、まずは海浜幕張駅まで行こう」


もちろん、そこへ行ったからと言って何か解決するわけではない。しかし、とにかく立ち止まっていても始まらない。五人は、とっくに陽が落ちて真っ暗な帰り道をたどり始めた。


「……なんか、めちゃくちゃ人おるんやけど」


マスゾエさんがそのことに気付いた。駅前に集まる、尋常でない人数。それは明らかに幕張メッセ・イベントホールのキャパを大きく上回っていた。


実はこの日、同じ幕張メッセの会場では乃木坂46の握手会が、その隣の国際展示場ではMrs.GREEN APPLEのライブツアーが、そしてさらにお隣のZOZOマリンスタジアムではHi-STANDARDやマキシマム ザ ホルモンら10組のロックバンドが一堂に会するフェス『AIR JAM』が18年ぶりに千葉で開催されており、それらすべての来場者が一斉にこの海浜幕張駅へと押し寄せていたのだ。ここに日曜日の東京ディズニーランドの来場者が加わったことで、この運休によって足止めを食らった人数は、なんと12万人に昇ったのである。


「こりゃ、今日は野宿かな」


冗談交じりに権助が言う。まぁ、台風の中、山奥に残される覚悟でライブに参戦したこともあるわけだし……と、わけのわからんことを考え始めているのでかなり末期である。


「いや、マジで帰れないでしょこれ……」


だんだんと、絶望の空気が漂い始める。


その時。


「……あっ、これ! これ見て!」


突然なにごとだ、と皆でクルクルさんのスマホを覗き込むと、そこには、なんと各方面へ向けての緊急帰宅方法がまとめられていた。それは、5thフェスティバルに参加できなかった日本全国の『アイカツ!』フアンたちが、今日のイベント参加者を助けるために急いで調べ上げてくれたものだった。


「ありがたいね……『アイカツ!』は、助け合いだね」


「おっ! 海浜幕張駅の近くから、動いてる京成電鉄の幕張本郷駅までの輸送バスが出てるみたいやぞ。そこからなら山手線まで帰れるな!」


「オッケー! それで行こう!」


当然、その情報はあちこちに拡散されているため、輸送バスへも長蛇の列ができていた。しかし。


「昨日の物販に比べたら楽勝やな!」


「いやこれスイスイ進みますね。列のうちにも入らない」


すっかり行列には慣れっこになってしまったアイカツおじさんたちには、この程度の列はもはや何の意味もなかったし、今の彼らは、時間があればあるだけ今日のイベントについて熱く語り合いたいことが山のようにあったのだ。だから。


「この後どうする?」


「まだまだ全然話し足りないし、アキバのガストにでも行って、飯食べながら続きやりましょうか!」


「それ~!」


こうして、アイカツおじさんたちの5thフェスティバルは終電まで続くのであった。


本当に、最高の五周年をありがとう。



-おわり-

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