言ノ葉紡

まずこの題材で書こうと思い、そして書き切れるだけの筆力を持つ作者に敬意の念が絶えません。 タイトル、キャッチコピーともに鮮烈で惹かれるのもさることながら、出だしの2話まででぐっと…続きを読む

地の文にかなり特徴があります。 西尾維新さんや奈須きのこさんが好きなのかな？と個人的には思いました。 終末世界というと仄暗い感じを想像しますが、キャラクターたちの掛け合いがポップ…続きを読む

自然の厳しさと人のあたたかさ、そして縁の巡りあわせが綺麗にまとめられていてほっとする内容でした。 話の起伏を生むための毒とかもなく、あくまでとある日の出来事を切り取ったお話です。 …続きを読む

話師の語りによって短い怪談が幾つか語られる構成です。1話あたりが短めで、かつ起承転結がしっかりしていますので手軽に楽しむことができます。 全体的な雰囲気は切ないからやるせないなど怪…続きを読む

とにかく魔王様が可愛い。この一言に尽きます。 そして登場人物たち（特に魔物側）の優しさや情が光る作品です。 言葉選びが明るく軽快なテンポで話が進むので時間を忘れて次の話へと進んでし…続きを読む

架空の世界を舞台に繰り広げられる海洋ファンタジーですが、どことなく懐かしさを覚えるのは馴染みのある用語などが随所に散りばめられているからでしょう。 モデルとなった作品や時代背景に詳…続きを読む

和風シンデレラストーリーですが、落窪物語とは全く別ジャンルの令和版作品として非常に完成度が高いです。 独自性溢れる世界観、複雑な人間の情、時とともに交錯する関係性全てが理想的な形で…続きを読む

青春×能力を根底に登場人物たちによる群像劇が展開されていく物語です。 まず、主人公がかっこいいです。前向きで、はっきりしていて、それでいて可愛らしい一面もあります。読んでいてとても…続きを読む

ジェットコースター並みのどんでん返しが続く新しい探偵もののお話です。 過去の経験から「探偵」を嫌う主人公と、主人公が愛した少女探偵の成れの果て。 そして悪役の立ち位置にいる探偵たち…続きを読む

火星人、は耳馴染みがありますが、この作品に出てくるのは金星人。 宇宙に対して憧憬をもつ主人公はある日ある金星人と交信を果たしたことにより、細胞レベルの契約を行います。 彼女が果たさ…続きを読む

タイトルの時点で「ん？」なり、キャッチコピーどこいったと思いながら1話目に入れば不思議なことに予測不可能な展開の連続で作者の性的嗜好やフェチズムが感じられるエログロホラーからの大団…続きを読む

ホラー作品として非常に完成度の高いお話です。 登場人物がそれぞれ抱える悩みや価値観がしっかりと表現されているのはもちろん、非日常に切り替わる際の緊張感や悍ましさをとても丁寧に言葉だ…続きを読む

初読、真っ先に人類最強にして不登校、というパワーワードが頭に残りました。 導入がとにかく強く、つかみが上手です。 日本が舞台とは言っても少し未来の日本のため、軽やかな文体と合わさ…続きを読む

序盤から島国ゆえに共同体社会となった日本の同調•共感の部分に対する疑心や不満、鬱屈した思いが鮮やかに表現された群像劇です。 こう書くと暗い印象を受けますが、決してそんなことはありま…続きを読む

完成された世界観をもとに他とは少し毛色の違う要素を持った一途な物語です。 事故による異世界転生を果たした主人公とヒロインですが、絶望的にどちらも転生の才能がなかった、という最悪な…続きを読む

非常に丁寧に青春する少年少女の姿が描写されています。 先輩の好きなところをたくさん挙げられる上で決め手に香りをあげる少年と、少年の香りに温かさを感じる先輩少女と似たもの同士だな、と…続きを読む

人里離れた森で暮らすヴィクリアと、英雄オルイーニを中心に物語は動き始めます。 世界観が細部に至るまで作り込まれていますが、文章は決して説明的ではなく、登場人物たちが知る知識としてご…続きを読む

まるで一本の映画を見ているような錯覚に陥る作品です。 舞台は近未来。AIが生活に根差し「すぎた」ために人類が職を失い、テロ行為が横行するような世界です。 中心となるのは「自我」を…続きを読む

隣の芝生は青い。自分が持っていないものを持っている人に羨望を覚える。 これは多かれ少なかれ誰もが通ってきた道ではないでしょうか。 この作品は「言葉に溺れる」主人公が文芸部の後輩であ…続きを読む

設定がまず面白いです。 生まれ落ちる前に履歴書を提出する必要があったり、生前の徳が現在やこれからに関係していたり。 天女が妙に人間臭くて市役所の雰囲気などを彷彿とさせました。 世界…続きを読む

童話やお伽話の雰囲気が漂う短編です。 弟子の視点で地の文も進みますので、話を読んでいると言うよりその場で聞いている感じです。 人の心を変えるよりも自分が踏み出さなければ望んだ結果…続きを読む

キャッチコピーの通りのお話ですが、そこから彼女が自分や好きな人の恋心にどのように向き合っていくのかが柔らかな文体で綴られています。 彼を好きにならなければ知らなかったこと、気付いた…続きを読む

人間社会の化かしあいに負けた主人公が、人生の最後にと積んだ善行で狐の押しかけ花嫁（仮）をもらうお話です。 人間の化かしあいが普通にあるものなので、主人公の心理状態に寄り添いやすく…続きを読む

「かつて神を殺した男がいた」からの「無欲ゆえに手柄を取られ、歴史に名を残さなかった」おじさんが活躍するなんて嫌いな人はいないでしょう。 主人公が圧倒的にチートで強いわけではなく、…続きを読む

多感な少年少女が恋を育むという一般的な青春ものに、ではもしその相手が自分のせいで死んでいたら？というホラー要素が合わさったお話です。 幽霊が訪ねてきたり憑いたり願いを叶えろと要求…続きを読む

いわゆる「ざまあ」「復讐」から物語は始まります。 他作品と比べても没入感や感情移入をする前にいきなりトップスピード且つ山場が展開されますので戸惑われる方もいるかもしれませんが心配は…続きを読む

2章まで読了しました。 登場人物たちがそれぞれ個性が立っているのもそうですが、地の文の言葉遊びや比喩表現がとにかく面白いのがこの作品の強いところです。 特に顕著なのが冒頭で、いきな…続きを読む

ブロマンスとしては友達側の表現が際どすぎる気もしますが、話としては秀逸で面白いです。 「らしい」の細かい定義は人によりますが、大まかな枠は共通認識として根付いています。 特に性別…続きを読む

あらすじで「難しそう」と感じた方はちょっと最初のお話をクリックしてみてください。 途端に広がる情景描写と思春期の少女の心理描写、そして恐ろしいほどにテンポの良すぎる会話がそこでは繰…続きを読む

精一杯、ではなく、普通に生きている女の子の何気ない冒険の一幕。 こう表現してしまうと途端に陳腐な感じになってしまいますが、彼女にとっては他の人が冒険をするのとちっとも変わらないので…続きを読む

シンプルに設定が面白い作品です。 転生者である祖父の悲願とも言える「テンプレ」を体験することを目的に生まれ故郷を去った主人公ですが、彼が持つ常識は祖父母の影響もあって世間とはかなり…続きを読む

哲学。この単語だけで裸足で逃げ出そうとする方もいるかもしれませんが、少し立ち止まって視野を広げてみましょう。 このお話は哲学を愛する主人公の一人称で進んでいき、彼が彼の思想のもと…続きを読む

石炭と水晶まで読み終わった段階になりますが、兎にも角にも世界観の作り込みが他の作品と一線を画します。 通常ライトノベル作品にありがちな「盛り上がりを作るために仕込まれたとってつけた…続きを読む

徐々に非日常に侵食されていく過程がリアルで、文章を読み進めるほどに固唾を呑んでしまいます。 主人公は火星に憧憬を抱くごく普通の大学生で、火星移住計画に応募してしまう年相応の積極性…続きを読む

ラブコメです。すごくテンポのいいラブコメです。 しかし主人公たちがいちゃいちゃして砂糖を吐くようなラブコメではありません。 読んでいる方がじれったくなったり思わずにやついたりしてし…続きを読む

メロンパンによる駆け引きが導入になっているこの作品、読めば読むほど唸るしかありません。 なぜメロンパンなのか？ なぜ恋の試練が課されているのか？ クラスメイトの思惑はどこにあるのか…続きを読む

一万字で纏めるには壮大すぎるバックボーン、個性的なキャラクター、世界観と誰もが好きな要素が詰められています。 かなり読者側に想像の余地を残す形になっていますが、それがさらに作品の魅…続きを読む

このお話は悲劇から始まります。 それも筆を割いてしっかりと描かれているため、読み手は一気に話に引き込まれるでしょう。 己の弱さと不甲斐なさに苛まれ絶望の中ただ息をしている状態の主…続きを読む

現代ドラマ風のお話です。 ライトノベルよりは文芸作品に近く、登場人物たちの営みが克明に描かれています。 序盤、青少年時代の青く瑞々しい感性が短い文章でありながら色鮮やかに提示され…続きを読む

ヒロインはエリートサキュバス…なのですが、程よくポンコツでうぶな面があります。 そのため、終始小さな子どもが必死になって「男子高校生」を落とそうとしているような微笑ましさがあります…続きを読む

新撰組の著名を用いることで作中への没入感、奥行きを持たせつつ、その枠組みから脱却するために神話やミステリー要素を取り入れて独自性を確立させているのが面白かったです。 作者の語彙力…続きを読む

短編としても面白く読めますし、〆方的に長編の導入にも使えそうなので続きがあるなら読みたいとなる作品。 断罪劇のお粗末さがダメ王子と令嬢の情けなさをこれでもかと露呈させるので、スカ…続きを読む

似た寂しさや痛みを抱える二人が、互いの存在に傷ついた心を掬い上げられ、再び羽ばたくお話です。 誰かに否定され、認められないでいると人間は自己肯定感を保つことが難しくなります。 日…続きを読む

恋愛を描く漫画などにありがちな定型を崩さず、敢えて初々しい恋愛を前面に描いた作品です。 ヒーロー、ヒロインの性格などの組み合わせに既視感のある人もいるでしょう。 とは言え、マンネ…続きを読む

幻想文学を謳うにふさわしい作品です。 キャラ立ちがしていて話のテンポもよく、展開も比較的早いため読書が苦手な人でも飽きが来る前にお話が進むでしょう。 懸念点があるとすれば第一話が…続きを読む

作者の豊富な知識に裏打ちされた重厚な世界観を味わえる作品です。 いったいどういう世界と主要人物たちなのか？を軽く序盤で描写した上で話の風呂敷が広げられていくのは、ノベルゲーム特有…続きを読む

聖夜の奇跡をテーマに、主人公たちの恋模様と都市開発に晒される商店街の行末が描かれています。 奇跡、というと、偶発的にもたらされるもののイメージがありますが、今作においては行動によ…続きを読む