きっと二人は今心のままに、ありのままの自分でのびのびと恋をしている。そんなふうに思える心の自由な恋愛物語でした。いい匂いも気になる嫌な匂いも、好きな人の匂いも、若い頃の匂いって相手や世界を認識するすごく大切な感覚の一つでした。心を自由にして、ゆっくり時間を過ごして、胸いっぱいに色んな匂いを感じてみて、忘れがちな感覚を思い出してみたくなる穏やかなストーリー展開でした。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(68文字)
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(161文字)
文章から漂ってくる、どこか浮ついていて、ふわふわした匂いがとても心地よかったです。読んでいて心が満たされる感じが、ホットケーキを食べている時のような感覚にどこか似ていて、とてもほかほかしています。ところで、人間の嗅覚というものは、私たちが思っているそれよりもずっと深いところで私たちの価値判断に用いられているとか、、少し変わった切り口から見えてくる恋模様を、お楽しみいただけるかと思います。
少しづつ縮まっていく距離感と感情が美しい物語。とは言っても主人公の陽介はしっかりと妄想するし、なんならヒロインの雪も妄想全開。そして二人とも「あの人の香りが~」とお互いに思い合う、ある意味匂いフェチ。そこに愛すべきキャラクター達のこだわりがある作品。ひとつひとつのステップが繊細に描写される恋物語です。是非~!
大学生の経験は無いけれど、その年齢を思い起こさせる初々しさを感じる。匂いは最も原始的に遺伝子的相性を判別することが出来るとされている。香りに惹かれ合うふたりはきっと運命で繋がっていると思うけれど、気づくのは多分相当先の話になりそうだ。