まずは、よくこのテーマについて切り込んだなと、作者様の勇気、そしてそれを完結させた実力に賞賛をお送りしたいです。
様々な文献を丁寧にお調べになったのだとよく分かります。そして、得られた様々な情報を緻密に盛り込み構成された世界は、作品の中盤になってから私たち読者に牙を剥き始めます。
物語の在り方によって変わるふたつの世界。読み進めるごとに募る違和感。
そして、「私が読んでいるコレは、一体何なのだろう」そう認識した時、物語は物語を飛び出してリアルになる。
私を私たらしめているのは何か。
物語とは何か。
読書好きとして、また執筆者として深く考えさせられる作品でした。
純文学がお好きな方には特におすすめできます。ぜひ。
パワーがある。
キャッチコピーからして「え?」と引っ掛かり(褒めていますよ!)を感じ、読み進めていきます。
さまざまなひとの視点を挟みながら、
時には作中作の引用や難しい用語を挟みながら進んでいきます。
読んでる時はずっと《彼ら》の手のひらの上で踊らされている感覚です!個人的にめちゃくちゃ楽しい!
どいつもこいつも信頼できない語り手がすぎる……!
内容に関してはご一読ください。としか表現できませんが、読了後、目次のタイトルを眺めているだけでかなり楽しいです。
個人的に作り込みに惚れ惚れしていまいます。
「我那覇キヨ」という名前そのものも大変良い演出だなと噛み締めております。
素敵な物語をありがとうございました。
読了後、作中に出てくる単語を「まさかな」と思って調べてみたら愕然としました。ジョジョ風に言えば「覚悟決まってるな」と思いました。登場人物の名前に自身のペンネームを預けていることも含めて。自分にこれが出来るかと言われたらかなり難色を示さざるを得ないなとは思いつつ、物語を紡ぐ人間としては倣うべき姿勢なのだとも思いつつ。云々。
また、ここまで当事者として考えさせられる内容になっているのは、作中で示される論理的筋道の整合性が正確に取れていることは勿論、作中での歴史が精緻な筆致で追われており、結果この展開をフィクションとして切り離すに切り離せない「スゴ味」が作品に付帯されているからなのだなと感じました。実在する世界の中で実在する人間が活躍しているように思え、だから他人事と思えない。
作家や編集者でなくともです。素敵なお話をありがとうございました。