キャッチコピーの通りのお話ですが、そこから彼女が自分や好きな人の恋心にどのように向き合っていくのかが柔らかな文体で綴られています。彼を好きにならなければ知らなかったこと、気付いたからこそ変わってしまった関係。自分で終わらせることも選べないけれど、好きな人に対して卑怯になりたくない乙女心がリアルだなと感じました。大人が持つ狡猾さとは無縁の少女が少しだけ大人になるその瞬間に、あなたも立ち会ってみませんか?きっと気にいると思います。
キャッチコピーからもわかるように、好きな人には好きな人がいました。その好きな人のことを好きなまま、彼が幸せになれるようにと自分の気持ちを隠しながらも背中を押したり応援する主人公の淡く切ない恋心の描写がなんとも繊細で、「いつか涙は思い出に変わる」こと、一緒に願っています。
たとえ、結末がどうであっても、主人公が精いっぱいできることを探す姿に心を打たれました。好きな人には好きな人がいた。定番かもしれないけど、どこか違う。この作品にしかない良さがあります。主人公の想いのまっすぐさが丁寧に描写で表されています。三角関係の切ない物語ですが、読みごたえはばっちりです。ぜひ読んでみてください!
瑞々しい筆致と感性で切り取られた、人生の一時期の恋。書店に並ぶ綺羅星のごとき長編小説も最高だけれど、こういう作品に出会えるのってweb小説ならではの醍醐味だあ……。そんな気持ちにさせてもらえる短編小説でした。まだの方は、ぜひ読んでみてください。
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