概要
面白い話、奇妙な話。
綺譚蒐集者《アンソロジスト》ルナ・ペルッツは他の何よりもそれが大好きだ。
戦後――
人種根絶を目指した独裁政党スワスティカが崩壊、三つの国へと分かれた。
オルランド公国、ヒルデガルト共和国、カザック自治領。
ある者は敗戦で苦汁をなめ、ある者は戦勝気分で沸き立つ世間を、ルナはメイド兼従者兼馭者の吸血鬼ズデンカと時代遅れの馬車に乗って今日も征く。
彼女に話を提供した者は願いが一つ叶う、という噂があった。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★ Very Good!!乱歩を思わせるファンタジックミステリー
ちょっとファンタジー的な要素がある、サスペンス的なミステリーです。エドガー・アラン・ポーの作品を思わせる雰囲気を感じました。第1話まで読みました。
ミステリー風味なのですが、主人公ルナの設定がまず面白い。そしてルナとズデンカの、噛み合っていないようで噛み合っている対照的な性格が、うまく物語を回しています。
一文一文が短く、いくぶん古風な言葉で綴られている文章が、今作に実によく合っていたと思います(「ぼこぼこ」は、ちょっと作品の世界観にそぐわない言葉のような気もしましたが)。
悪がきちんと報いを受けるので、読んでいてもやもやしません。それだけだとちょっと奥行きが浅くなりがちですが、八方丸…続きを読む - ★★★ Excellent!!!幻想×怪奇×謎解き
幻想怪奇という言葉が、ここまでしっくり来る作品はなかなかありません。
事件そのものは猟奇的で残酷でありながら、描かれているのは「誰が悪いのか」という単純な裁断ではなく、閉じた社会の空気、役割に縛られた人間の弱さ、そして見ないふりをされた罪です。
探偵役でありながら真実を暴くだけでは終わらないルナの在り方が、この物語を単なるミステリやホラーから一段深い場所へ引き上げています。救いは完全ではなく、正義も万能ではない。それでも「忘れられないもの」を拾い上げようとする姿勢が胸に残りました。
重く苦い題材を扱いながら、文体は美しく、幻想性と皮肉、静かな優しさが同居しています。
読後、しばらく月と鐘…続きを読む - ★★★ Excellent!!!継続読み確定! 残酷さだけではなく、美しい祈りが込められた作品
これは、 “綺譚を追う探偵・ルナ” と “吸血鬼としての怪異を秘めた助手ズデンカ” が、怪奇事件の真相に挑む物語です。ただの推理劇ではなく、人外と人間が共に“幻想の影”へ踏み込んでいく構造が、独自の緊張感と美しさを生んでいると感じました。
第一話は、まさに“悲しくも美しい怪奇幻想譚”でした。
鐘楼の風見鶏に突き刺さるマルタの首という凄惨な幕開けから、一気に物語へ引きずり込まれました。猟奇的。ですが、妖しく美しい…。また本格ミステリ的構造が潜んでいることにもにやりとしました。
しかし物語が描くものは残酷さだけではなく、虐げられ孤独だったリーザの哀しみと、小さな蜘蛛の献身が織りなす静かな祈り…続きを読む