読ませる語り口調の怪異譚です。どこか切なく、愛を感じさせる「つららめ」。残酷な人生を生きる女。彼女の願いを語る「白読」。災禍の後に現れる「かのこ」と、ねじ曲がった伝承となった「禍ノ子」。……etc.実際に囲炉裏の前に語り手がいて、彼の声を聞いているような錯覚に陥ります。怖いよりも悲しさや切なさが先にきて、何か侘しい気持ちになります。佐々木喜善が柳田国男に語った遠野物語の原型も、このような形だったのでしょうか。古くから現代にまで残った怪異譚を語るとこうなります、といった風情の本作。是非、お読みください!
話師の語りによって短い怪談が幾つか語られる構成です。1話あたりが短めで、かつ起承転結がしっかりしていますので手軽に楽しむことができます。全体的な雰囲気は切ないからやるせないなど怪異のままならなさを象徴するものが多めですが、それがより私たちの生活の隣に潜むモノたちの怖さを掻き立てます。昔話っぽい文体ですので、読みやすくなっています。時間はないけど完成度高い読み物に出会いたい!という人の需要にも応えられるので、少しでも興味がひかれたら読んでみてください。
まず一話ごとで完結する話なので、どこで読んでも大丈夫です。そして、おばあちゃん、おじいちゃんが昔話をしてくれるように地の文が続きますので、サクサク読めちゃいます。そしてどこか懐かしいです!今の所怖い話よりも切なくなる話が多いです。ジャンルもそうなっているので、ちょっと切なくなる昔話みたいな物を読みたい方にお勧めです!
昔話みたいな雰囲気で怪異について語られる感じ。一話一話が短いので読みやすい。
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