永遠の命題

人とロボットを隔てる境界線はなんだろう、とつくづく考えさせられる作品でした。

今や漫画アニメの影響で学生でも愛読している人のいる近代文学作品の表現などを引用しつつ、独特な世界観を少年が奔走し、その奔走の果てにその世界がなんだったのか種明かしを受けます。
あまりの独特さに私は安部公房を思い出しました。
それだけメッセージ性を感じた、ということです。

人とロボットの違いとして、こころ、が挙げられることもあります。
しかし、感情を電気信号のようなものと考えるのであれば、ロボットもまたこころを持っていると言えるでしょう。

作品に登場するロボット側は、とても人間臭い性質を持っています。作中出てくる人よりも人らしいです。
「知りたい」という知的好奇心のまま、「僕」を巻き込んだ存在と、そこから救出した存在。その欲求の根底にあるのは対象に対する好意的な関心です。
実際「好き」とは何かしら?から始まり、「知りたい」ではなかろうかで結論を迎えます。
そしてそうなった身を人に近づき過ぎた、と表現します。

それが良いことなのか悪いことなのか、判断できるモノはいません。
しかし、美しいと感じられたなら、それさ獲得して然るべきものだったと思いました。

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