月夜の再会と約束が、二人の恋の形だった
- ★★★ Excellent!!!
一度読み終わったとき、多くの読者はもう一度冒頭に戻るでしょう。
絵を描く僕と話を綴る彼女の逢瀬がとても美しく、それだけにラストに近づくにつれてその恋の行き着く先が胸を打ちます。
言葉選びが優しく、情感あふれる文体もあって、二人の気持ちがダイレクトに伝わってくるからです。
切ない恋は、決して不幸ではありません。
出会わない方が良かったということもありえません。
たとえ最後に別れが訪れることになっても、人は誰かを想い、愛することで、自分たちだけの恋を遺すことができるのです。
この話はそう思わせてくれる、儚く繊細なお話です。
偶然の再会はきっと二人にとって運命だった、と。
一人でも多くの人の心に、残りますように。