刹那

私の夫はスパダリだけど、どこか物足りない。満足はしているのだけれど、どこか少し心の隙間があって……そんな風穴が邪念を呼び起こす、もう二度と引き返せない展開から目が離せません。 夫で…続きを読む

国王を招いた歓迎夜会は豪華絢爛たる光景に酔いしれようとしていた。 しかし、次の瞬間、虚無の空間と化してしまう。 完璧令嬢アイリスは、絵に描いたような金髪碧眼の王子エドワードから婚…続きを読む

学校が街が濁流に飲み込まれて行くスリリングな冒頭。激しさを増す泥水。高まる水位。 子供達は屋上まで逃げるが、豪雨と雷の中、一晩を明かす事になるサバイバル。 津波を連想させる悲嘆と恐…続きを読む

怒り……喜び……悲しみ…… 様々な感情が嵐のように沸き起こる、怒涛の展開が魅力のサスペンスドラマ。 雨の暴力が心の闇を炙り出すように、雨に塗れた狂気が読者の心を駆り立てる。 優し…続きを読む

鳥かごの中の飛べない鳥のように……抑圧された心身が社会の中で精神的に苛まれていく。 よい成績でよい学校を卒業してよい会社へと就職する……予めコースを定められ敷設されたレールの上を走…続きを読む

『　止まない雨　』という自然界に抗う世界観。 それは虚構の舞台装置としてテーマを前面に押し出した演出でもあり、主人公アキラの心理描写として、儚くも美しい作風を感じます。 ――貴方の…続きを読む

いままでの犠牲があるから今の私がいる。 思い返せば、過去の犠牲は思い出によって美化されていくようで、現在形で語るととても厳しい印象として受けてしまう不思議なお話。 生活環境や価…続きを読む

人生において犠牲はつきものです。日常の些細なシーンにおいても、あるいは無意識のうちに行動に移しているのかもしれない。 でもそれらは決して悪いことではない。 心があるからこそ、本当の…続きを読む

雨の温泉と杯。
タイトルの意味も味わい深い。
催涙雨ではなく、あえて洒涙雨としている粋が利いた酔興な一作です。

やさしい雨。涙の代わりに降り注ぐカタルシス。 たとえ言葉が通じなくとも、心を通わせる方法がある。 思い出が教えてくれた心の在り方を、 ただ傍にいてくれる雨は、知っているのかもしれな…続きを読む

独特な小説世界を揺曳する……そんな展開に心酔するような心地です。 散りばめられた数字表記が、気づけば心の隙間に引っ掛かりを生じさせ、時の流れやその時の心情を表しているようで味わい深…続きを読む

雨の日に現れるという都市伝説ヌメメ。その正体とは。 雨を集めること……ぽたぽた……目的がなければ特別やらない行為。 そして当たり前に差す傘も……ふ……と思いを雨に向ければ、今まで気…続きを読む

　第五章第８話までのレビューとなります。 　明希人（あきと）と夢叶（ゆめ）は学内一の美男美女の恋人同志の大学二年生。仲睦まじさも、愛しい情念も、誰もが認める公認の仲……そんなある…続きを読む

　主人公の少女はドブネズミ呼ばわりされる奴隷の扱いから物語は始まります。魔術書【グリモワール】と運命的な出会いと、彼女のことを【アニス】と呼んで、婚約者と名乗る魔法使いの男性ジョー…続きを読む

　ちひろとりんりの二人が校舎の上で思い出を語り合う物語。前半は会話文、後半は心情描写のわかりやすい構成。やがて訪れる終焉を境に正体が明かされていく展開方法に、傘を舞台装置として機能…続きを読む

　都内女子校に通う高校生、ハルとツカサ。願いをかけた七夕に、ふたりは恋人として付き合うことに。でも、訳アリのふたり。結ばれることのない将来。特別な関係になった瞬間から、ふたりは別れ…続きを読む

　作者様は感覚マジシャンとも言える五感刺激の達人でしょうか。雨をテーマにした小説でありふれた触覚や視覚、聴覚だけでなく、嗅覚、味覚に至るまで……五感をフルに刺激するような描写、表現…続きを読む

　第十四話までのレビューとなります。 何度目かと分からない死を遂げ、再び転生を果たす主人公アビゲイル・セイラムには前世の記憶があった。前世といっても名前も顔も思い出せず、あるのは前…続きを読む

　鳥飼さんはモモちゃんというオウムさんをとても大切に飼っていました。しかし、とてもデリケートな小鳥さん。日本ではまだあまり飼われておらず、情報が少ないためか、診てもらえる獣医さんも…続きを読む

　まず目を惹くのはギャップ萌えです。黒の竜王と呼ばれるオークランド王国第一王子ドレイクは、無愛想で口数少ないのに、「国王陛下は、少女好きのウサギフェチ」の噂が広まってしまう。その原…続きを読む

肉球ペタペタ、愛おしい。
すりガラスに映る、ほわんとした姿。
つまみ食い、と思いきや、食べたのは引き立て役のアレ。
どれも魅力がたっぷり詰まったエッセイ。ホッコリしますよ。

「カク」活動の始まりとなった本作。受動的から能動的な「ヨム」への気づき。そして「ヨム」から「カク」への転身を果たした作者様。 　試行錯誤を通じて得られた経験をわかりやすく、そして優…続きを読む

　第17話まで読んだレビューです。 　主人公の【塁（ルイ）】三十歳（♂）がRPG世界のとっても可愛いモンク（♀）にTS転生しちゃう、ガーリーでちょっとエッチな冒険物語。 　とあ…続きを読む

こんな創作論は初めてだ！　読んでいて楽しい！
まるでボディブローのように冒頭から末尾まで、小気味よく脳髄へと刷り込まれる筋言がクセになる！

プロテイン必須！

――突如！　主人公の少年たちが野党たちに襲撃され、父親が絶命する衝撃的な幕開け。 脳裏に焼きつくのも束の間、絶望と悲しみを宿しながら父の仇を打つため、強くなるため、少年は旅立ちま…続きを読む

　AI技術を駆使した遠隔操作手術に特化したヒト型人工知能【ROAI（ローエ）】。患者の病状と術式をデータ送信するだけで、執刀と状況判断は全てAIが行う最新医療技術。これにより、離れ…続きを読む

　一回り年上の兄をなくしたことで失われてしまった心。木のウロ（洞）として描写するその心の穴を埋めようとする物語。視覚・嗅覚・触覚をはじめとする体感と鋭さや柔らかさを伴った感情とが双…続きを読む

とにかく序盤からトップスピードで突っ走ります。ブレーキは残念ながらついていないようです。しかし、それでいながら軽妙な掛け合いが息ピッタリ。こんな小説は読んだことがないぞ。
面白い！

　広くあまねく、多くの方々にとって共感の持てるヒューマンドラマです。特に子育て経験のある方々ならより深く刺さるのではないでしょうか。男と女の価値観の違いは、ともに生きる上で切っては…続きを読む

　大宮太郎とその妻たまきは結婚式を終えたその日の夜、同じ寝室で同じ夢を見ます。舞台となる特急「やくも」、現在も出雲市駅から岡山駅を走る列車です。 　当時小学生だったはずなのに、成人…続きを読む

　看護師さんの医療現場での壮絶な勤務体制や切実なる思いを込めて綴られたエッセイです。そこには私たちの想像を超えた重責を伴う職務と己の犠牲の上に成り立つ職業なのだと、改めて考えさせら…続きを読む

　精神の転移が別の肉体に宿り、断片的な記憶のピースを繋ぎ合わせていきます。張り巡らされた伏線も丁寧に回収され、次第に組み合わされていくジグソーパズルを完成させていく、そんなプロセス…続きを読む

　偽名を貫くアリオーシュとその師匠クロムウェルとが師弟の仲として修行の旅に出る物語。 彼女はかつて民に反逆されたカヴォルスト王国第三王女。家を隠すために偽名を貫き、7つの弟を生贄に…続きを読む

　夫婦のカタチを描いた過去の追憶や心情が去来するエモい小説です。波音が金網越しにサイダーの泡のように甘く、引いては押し寄せる情景が浮かびます。 　ふたりの絆は思い遣りの心で繋がって…続きを読む

　第12話までのレビューとなります。 異世界にて匂いの嗅ぎ分ける能力【くん活】を駆使して旅する物語。冒頭から金がない、職業がない……といきなり前途多難。かなり致命的スタートを喫する…続きを読む

　これから住宅購入を検討されている方にとって、とても価値のある一作だと感じました。普段のネットや専門誌からの情報収集では得られないであろう住宅選びのノウハウから家造り裏話に至るまで…続きを読む

　再起を懸けたリサイタルや数奇の人生のドキュメンタリーで大反響を呼び、『奇跡のピアニスト』で知られるフジコ・ヘミング様。大観衆の魂を震わせた『ラ・カンパネラ』はあまりにも有名であり…続きを読む

時は明治初期。廃刀令が布告された最中の舞台、それに抗う男と女がいた。 穢多（えた）という穢れを生業とする男『皮剥ぎ源助』。遊女三人と夜桜の下で宴会をする予定だったが、来たのは脇差を…続きを読む

　推しのweb作家さんの作品すべてが突如消えてしまう、その喪失感に苛まれても希望を見出す物語。 webでは跡形も残らない、その残酷さがまざまざと伝わってきます。作品たちは消えてなく…続きを読む

　穏やかな日常に春うららかな綻び。 優しい季節の訪れを伝え、暖かなの木漏れ日のように舞い降りる美しい言葉の連なりが印象的な本作。だんだん私を私たらしめる印象操作も面白く、視点のすり…続きを読む

　軽妙なテンポで披露される歌会。お酒のチカラも借りながら、楽しめる内容となっています。地の文が冒頭くらいで、あとは会話と心の声がメインの構成で本当に読みやすい。挑発的な殺し文句も軽…続きを読む

　乗っ取られた父親の施設の立て直しを図るため、転送装置の開発を進める主人公の陽日（はるひ）が片道切符のタイムリープに挑む物語。最も問題視された時間軸との整合性という課題が立ちはだか…続きを読む

　春を彩る花々に包まれる心地のよい物語です。 春の色は桜の桃色だけではなく、モクレンを代表する鮮やかな純然たる白と高貴の紫も色彩の豊かさを添える美しさとして映えます。 　また、清和…続きを読む

　春の時分に夏の風物を取り入れる粋な合わせ方が巧み。出会いの季節に肖りたい手早な感情を垂れ流して、美化された過去に縋るのだろうか。 ひと夏だけの短い命を、春を先取りして早々にして散…続きを読む

　事なきを得る幸運にどこまで縋り、頼ろうか。車なしでは生活できない田舎に祖父母と三人暮らしであろうか、結婚の意思もなく今年も巣立たないあたしがいる。わだかまる後ろめたさに罪悪感を紛…続きを読む

　性的マイノリティ要素を織り混ぜての夢追い人の同居生活。ふたりの目指す未来はそれぞれ違うけれど、この先どうなるんだろうという興味が尽きない。いくつもの偶然を結んだ矢先の急展開は多様…続きを読む

読めば読むほど味が出るホラー。謎めいた文章の先々で張り巡らされた伏線。一本の線でピンと張られた瞬間に、すべてが繋がる快感を覚える。弛緩した狂気たる部位を緊張した舌鼓でご賞味ください…続きを読む

今年も出会いと別れの季節がやってきた。大学入試後の失意の中での一期一会。ぼんやりと淡く光る桜の木の下にいたのは、迷子の姫だった。心を通わせ、彼女を助けるために立ち上がる気概が春の夜…続きを読む

春の花々が美しく咲き誇る風景、その中でも藤の花の描写がとても綺麗です。語りかけてくる花の言葉が風に揺れて、匂い立つ香りがふたりを誘う展開が興味深い。思い出の香りとしてふたりの心を熱…続きを読む

奇抜な発想に衝撃を受けます。春に咲いたおじさんは、喋ります。タバコ吸います。コーヒー飲みます。故にシュールであります。しかし、どこかユーモアを感じるのです。そして哀愁を帯びたセリフ…続きを読む