いつ誰にでも起こり得る喪失の追体験

 推しのweb作家さんの作品すべてが突如消えてしまう、その喪失感に苛まれても希望を見出す物語。
webでは跡形も残らない、その残酷さがまざまざと伝わってきます。作品たちは消えてなくなっても作家本人はきっとどこかで生きている、そう願いたくなるお話でもあります。
 特筆したいのは、この物語で語られるあるひとつの喪失が、カクヨム含め、全てのweb作家さんとその活動を支持するファンとの間において、誰にでも起こり得る非常にリアリティに富んでいることです。推しの作家さんがwebという大海から姿を消すことは、その人の存在自体がこの世から消えてしまったという居た堪れない思いで胸が締め付けられることでしょう。その一端をこの小説で私たちの心の追体験として得られる価値ある物語だと思います。

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