第五章第8話までのレビューとなります。
明希人(あきと)と夢叶(ゆめ)は学内一の美男美女の恋人同志の大学二年生。仲睦まじさも、愛しい情念も、誰もが認める公認の仲……そんなある日、『奇跡』ともいえるニュースが数多く報道されるようになると、その綻びから徐々に二人の秘密が、奇妙な巡り合わせとして導かれる展開に……
綿密に練られた人物相関。
視線の先に絡みつく謎。
意味深な発言の奥に秘められた、真の意味とは。
まるで月を欺くかのような引き合わせる駆け引きから、瞳が逃れられない。洗練された美しい文体と、趣向を凝らした特徴的なルビ振りに、思わず陶酔してしまうほど、ため息の熱が漏れてしまう。
第四章で事態が急展開を迎えます。これまでのイメージが 180° ひっくり返るドンデン返しとでも言いましょうか。
可能であるなら是非そこまで読んでみてほしい。話数も決して多くないし、比較的読みやすい内容だと思います。
数多くの伏線が矢継ぎ早に回収……否ーー、人智を超えた妖しい力に強引に引き寄せられていく……そんな衝撃を受けることでしょう。
このお話には、見目麗しい人物たちがたくさん登場します。神秘的でいて、怪しげなほど美しい存在たち。そんな彼らはそれぞれが大きな秘密を抱えており、徐々に明らかになる真実は果たしてどんなものなのか?
冒頭から美男美女のカップルが、相思相愛な様子を見せてくれます。が、それらが徐々に綻びを見せ始め、ついには怖ろしい出来事が起こります。
物語の中心となるヒロイン夢叶は、癒しという特異な能力を持つ半妖。金髪金眼で、妖狐と人間のハーフです。ふわふわしていて砂糖菓子のような女の子で、真綿で包んで護ってあげなくちゃと思うほど。
対する夢叶の恋人・明希人は銀髪のオッドアイ。ずっと薬指に指輪をしているのですが、そのことについて夢叶は彼氏に理由を聞けません。交際一年ほどなのですが、この、相手に踏み込めない遠慮がちな関係が、お話が進むにつれて変化していきます。変化せざるを得ない状況になってくるのです。
砂糖菓子のようだった女の子が、少しずつ強い心を持っていくのも見所の一つだと思います。
特筆すべきは、美しい情景描写です。図書館の書棚を支える焦茶の柱、天まで昇る蔦の彫刻、美しい小花達。綺麗な光景が容易に目に浮かびます。物語の重要な小物である『吉祥』という本の装丁も丁寧に描かれています。ぷっくりとした立体感、彩り豊かな花達、手のひらに馴染む心地よいクッション性……手に取ってみたくなりますでしょう?
妖狐と人間が、人知れず混じり合って暮らしている世界で交錯する、美しくも怪しい者たちの思惑。
オッドアイな美青年や美しい妖狐がお好きな方に、特にお薦めなお話です!
果たして誰が災いを為す者で、誰が味方なのか? 善と悪が交錯するスリリングな物語が冒頭から紡がれます。
ヒロインは、金色の双眸に、特異な術式を操る半妖の美女。そして彼氏はオッドアイの美青年。しかし、彼は大いなる力を持ち、妖たちに畏れられる存在だった。
──妖術を浴びて絶命した者は、死後八分でほかの妖狐や人間の記憶から消え去る
多彩な妖たちが生死の境で鬩ぎ合い、葛藤する現代ファンタジーですが、特徴は精密に織り込まれたオリジナルの設定で、ネーミングがいずれも秀逸にしてスタイリッシュ。ストーリーが進むに従って、独自の世界観が説明も細かやかに拡大していきます。
ヒロインが用いる「恢術(かいすい)の肆(し)、花夢癒(はなゆむ)」
神秘の森で繙く美しい背表紙の書「吉祥(きっしょう)」
鮮烈な印象を残すアイテムの数々や、それを巡る逸話も練り込まれ、深みと温もりがあります。
予想だにしない現実に直面し、当惑しながらも困難に立ち向かうヒロインが、どんな選択をし、誰を救い出すのか……今後の展開に更なる期待を寄せてしまいます!
明希人と夢叶は大学二年生の恋人同士。美男美女の誰もがうらやむ二人です。夢叶は一途に明希人を想い、明希人もそりゃあもう夢叶を大切にしている。毎日一緒で幸せそう♥……と思いきや!甘ーい恋愛小説から一変する出来事が起こります。
第七章第四話を読んだところでこのレビューを書いていますが、恋人同士の二人が余りにも幸せに見えたから。だからこそ、その後の展開が辛すぎて……。
少しずつ明らかになっていく事実と、深まっていく謎、絡まり合う過去。これらがどのように展開していくのか、更新を待ちわびる日々です。
キャラクターに美男美女が多いのですが、その描写が素晴しくて読む度に脳内でバラが咲き乱れます。描かれる情景も宝石のようにキラキラしていて魅力的です。コミカライズされたら凄く素敵なんだろうな……と妄想しています。
緩急あるストーリーも、ぐっと読者を引きつける力がある作品です。
さあ、あなたも脳内にバラの花園を作りましょう!