常識にとらわれない『ふうふ』のカタチ

 性的マイノリティ要素を織り混ぜての夢追い人の同居生活。ふたりの目指す未来はそれぞれ違うけれど、この先どうなるんだろうという興味が尽きない。いくつもの偶然を結んだ矢先の急展開は多様性としての『ふうふ』のカタチを孕んで私たちにその在り方を投げかける。受け止め方は人それぞれ。様々な解釈で読み取れる余地を残している故、物語の奥行きが広がるように味わい深い。
 ありきたりな男女の枠を越えた常識にとらわれない日常を切り取った筆致に、ふたりの夢追い『ふうふ』としての希望と可能性を感じる物語。