概要
そこに棲み着いた幽霊猫、マルタ。
彼らに与えられた秘かなる神のミッション。
二人は尽きていく命を見つめ、その意味を問い、そして誰かに伝えていく。
人間よりも人間らしい動物模様を描く現代ドラマ。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!猫好きにはたまらにゃい!!!
動物病院の飼い猫、ゴクラクの視点で語られる、傑作アニマル&ヒューマンドラマです!
ゴクラクは猫らしく一見斜に構えていますが、レントゲンで本当に体が透けてしまうと思いこんでいるような可愛いところも。
このゴクラクと、彼以上に斜に構えた幽霊猫マルタ、喧嘩っ早いけれども強くはない半野良猫のヤスジロウを中心に、物語は展開していきます。
巧みな心理描写、豊かな文章表現、ユーモアあふれる掛け合い、じわじわと盛り上がっていくストーリー。
やがて訪れるクライマックスとラストは、涙なくしては語れません。
人間は人間、動物は動物、心が通じあうなんて幻想だというものの見方もありますし、そういう見方もときには大切だ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!その命は誰がため―――。
動物病院を舞台にした、オムニバス形式の、命を主題にした作品。
すごいです。どんどん、深みが増していきます。
まず、描写の使い分け。
弾む部分はしっかりと弾ませ、宥める場面はしっかりと宥める。
文章の使い方。表現の仕方。特に、見えないものに対する筆遣い。
最新話まで読んでの所感ですが、プロの所作だと思います。
そして何より、作者様の命に対する視線。
ときに残酷で、それでもなお息づき続ける命に対する作者様の、迷いながら目を逸らさない圧倒的な愛情が、読み手を心ごと震わせます。
稀有でしょう。この物語。
ハッピーだけでは済まないので、その覚悟はいりますが、
それでもなお、この物語に身をゆだね…続きを読む - ★★★ Excellent!!!かわいくて愛しくて涙こぼるる
『誰がために猫は鳴く』
――吾輩も猫である。
タイトルはヘミングウェイ風、書き出しは夏目漱石風。
誰もが知る名作を彷彿とさせるこの作品……。
だかしかし! 決してまがい物ではありません。
動物病院を舞台に、生と死に真剣に向き合った猫ドラマなのです。
物語の主な進行役は、動物病院で飼われているゴクラクという名前のオスの黒猫。彼はそんじょそこらの動物奇想天外とは一線を画す極めて内省的且つ人間顔負けの思考を持っています。
もうひとり(と言うか、もう一匹)、ゴクラクと対を成す存在としてマルタという白猫が登場します。彼はこの病院で死を迎え幽体となって棲み続ける、謂わば地縛霊です。
ゴクラクが生者の代…続きを読む - ★★★ Excellent!!!猫の視点が持ち味の人間味あふれる動物ドラマ
第8話までのレビューとなります。
主人公ゴクラクという名の猫の視点から綴られる風変わりな物語。
奇抜で型破りな作風にまず多くの読者が引き込まれることでしょう。
住処は飼い主の家ではなく動物病院といところが魅力ポイント。そこで出会う棲みついた幽霊猫のマルタや飼い主の都合で居候となった老犬ローズ婆さんも目から鼻に抜けるほど個性的です。
特筆したいのが、まるで人間のような観察眼、眼光鋭い眼識を併せ持っており、動物たちが人間らしい一面として描かれ物語に深みを与えている点でとても味わい深いです。
動物同士の掛け合いや医療スタッフへの関わりを描いた想像力豊かな作風に時間を忘れてホッコリしてしま…続きを読む