レビュータイトルに全てを込めてます。
難しそう、と思って嫌煙してるそこの君にも開いてみて欲しいんだ。なあ、君だよ。過去の私だよ!!!
歴史物なんですけど、知識がなくても、ファンタジーとして苦なく楽しめてしまいます。物語として楽しく、キャラクターに親近感があるからでしょうね。
この作者様、とにかくすげーんですよ。
色んな作品、色んな舞台、色んな人々を描きながら全部面白くするじゃん。何なんだ?
知識マシマシだと固くなったり、難しくなったり、押し付けがましく感じたりすると思っているんですが、この作者様の作品にはそれがない。
豊富な知識を堅実な土台として活かしつつ、エンタメに料理してる。誰でも出来ることじゃないですよ。
ここ数日で既にファンになりつつあります。
暑苦しくも全力プッシュです。
この作品の主人公エンリコ・ダンドロは有名といえば有名人だが、その人物に詳しいと言える人はそんなにいないじゃないかなと思います。私も今まではシヴィライゼーションVのヴェネツィア文明の指導者、そしてビザンツ帝国を再起不能にした張本人くらいの認識でした。こんな風にエンリコの目線で物事を考えるのは見たことがありません。
エンリコの所業によって、歴史上最も偉大な都市の一つが恐ろしい災いに見舞われたから、どうしても悪いイメージがつくが、こうしてみるとそれだけのことをする理由はあったように思えます。別の角度から物事を見る、とても面白い作品と思います。
第4回十字軍は同じキリスト教国である東ローマ(ビザンツ)帝国の首都コンスタンティノープルを攻撃したことで、少年十字軍などと並び、十字軍の愚かさを象徴するものとして有名です。
この物語は、その第4回十字軍の前史、ヴェネツィアとビザンツ帝国の攻防をヴェネツィア評議会議員である、エンリコ・ダンドロの視点から描く物語。
エンリコ・ダンドロは後に東ローマ帝国を滅ぼし(後に再興)、ラテン帝国の建国に携わった人物ですが、殆どの方は知らない人では無いでしょうか。
そうした、多くの人にとって知られざる人物、知られざる歴史に焦点を当てた、上質で硬派な歴史物語、ぜひご一読を。