西奈 りゆ

もちろんプロットを用意してお書きになったのでしょうが、何て緻密で繊細な筆運びだろうと、感嘆いたしました。 双子の兄弟という閉じた世界に、こうしたヒューマンドラマをさりげなく配置し…続きを読む

美しいタイトルがきちんと回収されていて、 とても完成度が高い作品だと感じました。 何より、丁寧に紡がれた感情の動きとその表現。 一言で言い切れない思いを物語に閉じ込めて、 どこか…続きを読む

少しずつほぐれていく感覚。分かるなぁ、これは。って、思います。 そうなんです。「疲れた」と言うことすらタブーなこの時代、 こんな関係に人は救われるんだなって思います。 もちろん…続きを読む

お楽しみ箱のようなストーリー。 けれん味がなく、シンプルに楽しめます。 人知れない海の中では、こんなやりとりが交わされているのでしょうか。 悲喜こもごも。友情と冒険。 優しい関…続きを読む

長い話数で、将棋の話と尻込みすることなかれ。 私は将棋の知識ほぼゼロですが、まったく問題なく読めました。 本作の肝は、一人の少年を中心にした、 愛憎と境遇をめぐるヒューマンドラマ…続きを読む

とても味わい深い文章。作者様のお人柄によるものだとしても、 それを読ませる文章力に感服です。 囲碁の一手一手に合わせるかのように、ゆっくりと実るように進んでいく物語。 豊かだなぁ…続きを読む

するりと入り込んでくる導入部から明かされるのは、 「無限に続く水族館」という、童話のような世界。 けれど、そこに閉じ込められているというのであれば話は別で、 さらには様々な謎が主…続きを読む

ノスタルジックで、深い哀切の雰囲気が漂う作品です。 思えば、当たり前に成立することって、少ないんですよね。 日々成立する偶然を、夕日はどこからか照らし、 明日を告げぬまま、見守っ…続きを読む

どのジャンルの書き手様・読み手様にも受け入れられる、 稀有な物語ではないでしょうか。 静かに冴えわたる文章、切々とした感情の機微、 空間をそのまま切り取ったようなバトル描写。 何…続きを読む

出だしからは、のほほんとしたコメディものだと思っていましたが。 そこからして、作者様の術中にはまっていたのでした。 あえて何がとは言いませんが、良い意味でギャップがすごいです。 …続きを読む

子ども同士の淡い恋物語でありながら、 描かれているのは、大人の傍で生きていくことの難しさ。 そのように受け止めています。 時が止まっていればいいのに。 そう思えた時間は、そのま…続きを読む

突然不条理な世界に突き落とされ、 命までをも危うい状況だとしたら・・・・・・？ 主人公・咲良は愛する世界から隔絶され、 絶望の中スタートを切ります。 それでも、彼女は走り始め、…続きを読む

発想が自由で、なんだかすっきりします！

それでいて、なんだか切なく。

とても短いお話なのに、妙に胸に残る作品でした。
こういうお話、ありそうでなかったです。

感受性のスイッチって人それぞれで、 だからこそ面白く、ややこしい。 2人の高校生活のみずみずしい空気と、 「共感できない」悩みの対比が、 キラキラと美しかったです。 今はまだ見…続きを読む

ある女の子の、挑戦物語。 前向きさが自然と伝わるせいか、全体的にさっくりと明るいタッチに仕上がっています。 そしてまた、本人が何だかキモが座ってる笑 とても短い物語ですが、未…続きを読む

確かでいて、不確か。 「死」というそうした題材を、一見対極にある、あでやかな「花火」に結んで描いた、 珠玉の短編作品です。 とても丁寧な編み込みを思わせる文章に、語られない言葉…続きを読む

歌うような語り口で進行する本作。 純朴な仲間たちとある謎、そしておぞましい思惑が交錯します。 キャラクターの動きは、軽妙洒脱。 他作でもそうですが、目で音で「たのしませる」という…続きを読む

史実ではなく、創作の歴史物語ということで、物語りとして楽しみました。 その語りは、どこか、哀歌を思わせます。 黒百合の主な花言葉は、「呪い」や「復讐」、「恋」や「愛」だそうです…続きを読む

透きとおるような表題そのまま、 静かに気持ちが浸透していく物語でした。 特に中盤の、あるクローバーの光景と、その描写。 これは著者様にしか、浮かばない発想だったのではと思います。…続きを読む

カラス×女子大生×食。 突拍子もない組み合わせですが、物語として起承転結含め、 成立してしまっているのがすごい！ 極端な話に見えて、その実丁寧な物語の構成、というのも魅力的。 …続きを読む

酷評されている新・千円札ですが、読むとそれを見る目が変わります。 作者様はしかし、目の前で見てきたかのようにドラマを紡いでいかれる・・・・・・。 だからこそ、この医学者でもあり…続きを読む

焼き物？ ホラー？？ なんじゃそりゃ、と思って読んだら、 寒気がはしりました。 じわじわと侵食し、 たった一言でトドメを刺す。 自分の影に何かが取り憑いたような恐怖が、 読み…続きを読む

途中の段階でレビューを書かれたレビュアー様には、アンフェアな物言いになりますが。 この作品を語るにおいての「エロ」要素は、 四面体のダイヤモンドの一側面を称するに留まらざるを得ま…続きを読む

初めて読むタイプの作品でした。 一言で言うと、すごく面白い。 「多感」という言葉の中身を、繊細に、ときに少しの残酷さをにじませて、 哀切や、郷愁のような痛みとともに思い出させて…続きを読む

著者様の魅力が凝縮した作品だと思います。 視線が温かでいて、それでいて善悪を含めた広いところに平等に開かれている。 また、自然の体温を捉えるような、そんな澄んだ感性も行間から感じ…続きを読む

私は書き手として、そしてまったくの分野違いから読んだのですが、 言葉が追いつかないくらい勉強になりました。 鏡で自分のことは見えても、他者から見た自分は同じように映っているか？ …続きを読む

日差しに隠れた一抹の感情を、 手を伸ばすように掬いあげた作品です。 さりげなく後味を滑り込ませる技術が、 素敵なアクセントになっています。 なんだか、さっぱりしました。 ありが…続きを読む

こう言っては何ですが、人の悪意の描き方が巧い作家様です。

だからこそ、その悪意がはびこるこの世界で自分たちは
どの道を進むのか・・・・・・考えさせられました。

抽象的な青色が、それぞれの色になって浮かび上がります。

作中でテーマを託された青色。
あなたの青色は、どの景色に繋がっていますか？

想像のはるか上の軽さで、逆にびっくりしました笑 なるほど、これは肩肘張る必要がないです。 平易な意訳に、率直な感想をさらっと書いておられるので、 本当に「日記」程度の感覚で読めて…続きを読む

動物と暮らす些細な日々。 どこかでかすかな“平穏”終わりの予感を漂わせながら、 咲いた散ったの桜の花びらの光景と併せて、 しっとりと読ませてくれます。 この子とこうしていられる…続きを読む

という感情の置き場を、どこに求めたらいいのだろう。 綺麗な家族像が語られるたびにそのように思う方には、 きっとささります。 突拍子のない展開ではあるのは否めないのですが、 この…続きを読む

書き言葉でありながら、 言葉で語りかけてくるのと同時に、耳にしっとり響く作品です。 主人公の閉塞感、緩やかな絶望感、無情な現実。 このやるせなさは、生きる私たちにも、差すものでは…続きを読む

危機を前にして、人間というものは素が出るものなのでしょうか。 それぞれの思惑、欲望、絶望や希望が、個性豊かな面々を通して、 臨場感ある筆致とともに明瞭に描かれています。 この、楽…続きを読む

名前のない感情が、読後心をしめつけます。 一言一句の選定、文章の構成、そこから紡がれるある種歪で、密やかな物語。 その人にとっての明かりは、誰かにとっての残酷で、 それでも人は、…続きを読む

読み手として、分かる気持ちと、分かれない、分かりたくない気持ち。 その両方が相克して、結末まで先の読めない短編です。 表題に含まれる「りんご」の用い方がとても印象的な作品。 「物…続きを読む

業者さんは大変だなーと思いつつ、 読んでいるとなんともブラックユーモアの雲が漂い始め・・・・・・。 最期は、作者様らしい強烈なパンチが飛んできます。 こんなの、耐えられますでしょ…続きを読む

お題を物語へと昇華する、作者様の技巧が冴えた作品です。 「トリ、会えず」。ビターでノスタルジックな筆致は、 しずしずと心にしみ込み、読み手の感情をくすぐります。 最期の一文まで…続きを読む

信じれば、裏切られる。 その思いと体験の中で生きてきた主人公・はるの葛藤と出会いを、 穏やかで丁寧な文章で掬い上げておられます。 作者様のお人柄でしょうか。 文章の合間合間に細…続きを読む

「お宿」と「箱」、モチーフとテーマがくるんとリンクした、
なんとも可愛らしい作品です。

「大きい箱」と「小さい箱」。

さて、あなたはどちらを選びますか？

なんだか、土の上、草花の上に吹く、風を感じる物語でした。 遠くに行ってしまう、何かを運んでくる、過ぎ去っていく・・・・・・。 ある花 ―かすみ草― に託された物語ですが、 物語…続きを読む

夢を追ったことのある方なら、 それがどんな分野であっても、 深く共鳴するところがあるのではないでしょうか。 題材になっている内容は「R＆B」という、私は聞いたことがない内容でした…続きを読む

作者様の個人的体験談にして、おおげさに言えば（もしかしたら）普遍的、 飾らず言えば、「私にもそんな記憶が」。 猫の言葉という、架空でいて架空でない題材に、 作者様のしっとりとした…続きを読む

体験したこともないし、できない二人の関係。 物憂げな景色の中の、一瞬の粒。 その情景をしずくに閉じ込めたような、 二人だけの「時」が凝縮された作品です。 隙のない文章。 その細…続きを読む

何このタイトル！？って、読み始めたら運の尽きです。 自然でいながら、思いっきりのいいドタバタコメディが、はじけてます！ こういう仲間がいたら退屈しないだろうなあ、 次はどんな騒動…続きを読む

作者様の軽妙洒脱な語り口が、不思議な町のひきこもごもに溶け合って、 口元がほころんでしまいます。 とはいえ、いかに楽しい舞台でも、舞台裏ではまったく別の 「ひきこもごも」が起きて…続きを読む

序盤はどちらかといえばコメディ系かと思っていたのですが、 物語は穏やかな基調で、しんみりと心に入ってきます。 「旋律」とは、「音の高低・長短の変化の連続した流れ」ということですが…続きを読む

たったここ数年のことなのに、私たちの人と人との距離は、大きく変わりました。 これは、そんな変化をSF作品として昇華した物語です。 ジャンルとしては青春小説（SF）だろうと思うので…続きを読む

ブラックユーモア好きにはたまらないです笑

彼の行動の理由……。
そこ、伏線だったの！？

となること、請け合いです。

皆様も、お気をつけて(二重の意味で……)。

灯りが凝縮されたような、美しいお話でした。

そうして人々の中に、残り続けるのですね。