概要
誰も困らないはずだった。
始まりは、野球用語だった。刺殺、盗塁、死球。不穏な言葉が消された社会で、起きた事件とは。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!言葉狩りの社会で起きた凄惨な事件を描いたサスペンス。
ポリティカル・コレクトネス全盛の昨今において、絶対にありえないとは言い切れないながらも、エッジの利いた設定を用い、この文字数にまとめたのがまず凄いと感じました。
筒井康隆先生の「残像に口紅を」を初めて読んだ時のように、描写の中で「不穏字」が紛れ込んでいないか探しながら読むという、嫌な読み方をしてしまったのは内緒です。笑
既に拝読した他の作品にも共通していますが、ラストシーンでの落とし方が素晴らしく、毎回とても印象的です。
素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました。
※つけようとした☆の数になっていなかったため、編集しました(2026/9/8) - ★★★ Excellent!!!『綺麗は汚い、汚いは綺麗』/潔癖のユートピア
案外、真っ白な世界でこそ人間は正気から遠ざかっていくのではないでしょうか。
わるいものが、徹底的に排除された世界。
それは理想的な綺麗な世界を生みながら、影で白い闇を育んでいるのかもしれません。
本作では、この奇妙なアンバランスと危うさが、リアルな寓話として語られています。
はたして、ほんとうに「困る者はいなかった」のか。
レビュータイトルに使用した、「綺麗は汚い、汚いは綺麗」は、
シャエイクスピアの「マクベス」からの引用です。
この言葉に対する一般的な解釈のひとつに、
価値観の逆転: 何が善(綺麗)で何が悪(汚い)かという区別が曖昧になり、世の中の基準や見方がひっくり返る様子を表…続きを読む