ボーイミーツガールものとしてはとても完成度が高い。とかそれっぽいことを書こうとしたけど、そんなことはきっと他の人が書かれていると思うので省略。
とても面白いです! ボーイもガールも最高です! ふたりとも好きです!
しかし月ノ下くん、もうちょっとこう……ヤキモキさせないでくれ……「次の話では二人の関係がもっと近付くのでは?……いかんのかい!」的な。もちろんそういうジャンルだというのは解っているつもりです。わかっててそうなるので、本当に上手いし面白い。
この物語が完結していて良かった。連載を追ってたらこのヤキモキがいつまで続くのか心配するところだった。と思ったら続編がたくさんあった! 読み始めるのに勇気要る! 自分の小説を書く時間が確実に削れるから!
あなたが読み専であれば文句なしにお勧めします。書いてる人は、自制心を持って読んだほうがいいです! 面白いのも罪です!
プロアマ問わず数々の作品を読んできたつもりですが、『何故こんなに完成度の高い作品が書籍化されておらず無料で読めてしまうのか?』と幸運に思いつつも、不思議な感じがしています。
ネタバレしない程度に少々。
物語は高校生の月ノ下君が中心となって彼の周辺で起こる問題を次々と解決させていくミステリーを軸とした展開になっています。と、このレビューを読んで『何だ、よくある青春ミステリーじゃん』と思ったそこのあなたっ!
違うんです。
私の少ない語彙力では残念ながらこの物語を正当に表現できないだけなのです。
この物語は五つの章から構成されていますが、読み進めていくうちに、やがてたった一つの真実に辿り着くようになっています。
作家さまの『登場人物たちの繊細な心の機微を表現する筆力』にも脱帽ですが、何よりも『だれかのために』尽力してきたことで『自分のための物語』が完成するという構成力の高さには唸らされます。
長くなりましたが、本当に全員に読んでいただきたいと思っています。
人間いざというときに言いたい事が言えなかったり、ここぞという場面で動けなかったり。
また周到に練ったはずの計画が、思った通りにいかなかったり、それでもどうにか結果オーライになったり。
そんな人生におけるあるあるが、生々しい程に詰まった作品です。
主人公は一見情けなく見えるかもしれませんが、現実にいたらかなり勇敢な部類に入ると思います。
物事の捉え方の違い、仲間意識と偏見など毎回答えの出しづらいテーマについて丁寧に掘り下げ、恋愛あり、推理あり、笑いもあり。
どの視点からでも楽しめる様に作られた、正に万人向けの良作だと思います。
続編もあるようなので、この先読むのが楽しみです。
本作はまず、謎の提示、その解決という手法で読者を惹きつけます。
推理小説を例に出すまでも無く、何とも魅力的な手法ではあるんですが、それ以上にこの作品を際立たされているのは、しっかりと貫かれている――テーマ性。
本作は、これに対応する“謎”に、安易な解決を与える事は無く、登場人物達は悩み、惑い、時には上手く行かずに苦しんでしまう。
だが、その中で自分を見つめ続ける彼らが、どんなに魅力的であることか!
“謎”に対して答えを安易に出さないからこそ、彼らは瑞々しく、そして眩しく輝くのです。
本作は青春群像劇として珠玉の逸品であること、間違いありません。
ぜひご一読を!
読み終わって思うのは「とにかく面白かった!」という素朴な感動。
そしていい物語に出会ったな、というしみじみとした読後感です。
主人公は月ノ下君という、ちょっと冴えない感じの、ちょっとドライな感じの高校生。
ヒロインは可愛いのに、小説家志望のちょっと理屈屋で、ちょっとこじれた感じの女の子。
この二人が学校で起こる、ささやかなミステリーに巻き込まれていく、そんなお話です。
物語そのものは中編の連続体で、それぞれに魅力的なキャラクターが登場し、一風変わった事件が語られていきます。
そしてこの二人がまるで科学反応のように、意外な形の真相を突き止め、彼らなりの一風かわった解決策を講じていきます。
まず特筆すべきはこの物語の持つ雰囲気です。
日常で起こりながらも、事件のもつ特異さ、そして意外な真相というミステリーの雰囲気が素晴らしいです。
さらには主人公とヒロインはもちろん、事件の渦中で次々登場する少女たちのなんとも魅力的なこと。
そして新たな少女たちが登場するたびに、接近したり離れたりする二人の距離感への悶絶具合がまたなんともクセになります。
そう、これはミステリー集であるばかりでなく、二人の青春小説にもなっているのです。
そういったちょっと複雑な構成でありながらも、とにかくリズムよく軽やかに物語が進んでいきます。
まぁ簡単にいうと、とにかく読むのが楽しいのです。
こういうのは物語にとって一番大事なことではないかと思います。
さらに何よりのミステリーはこの物語に潜むテーマ性にあります。
そこにはなかなか答えの出ないような、でも大事な問いの数々が、寓話の形で潜んでいます。
そんなところもじっくりと考えることが出来て、そして二人がどんな答えを出すのかが楽しみで、それがこの物語を読ませる原動力になっているのです。
こういう作品はなかなか珍しいと思います。
それだけにとにかく沢山の人に楽しんで欲しいと思います。
いろいろ書きましたが、とにかく面白いから是非よんでみてください!
主人公視点で進む五つのエピソードからなる短編集。
美術室の石膏像が紛失し、主人公と友人は事件に巻き込まれる。
彼らは真犯人探しに躍起になるが、ある方法で事件を解決し、石膏像を無事に美術室に戻すことに成功する。
事件解決に雑学が入る一風変わった構成ですが、それがこの作品のスパイスとなり作品全体をより面白くしています。
一番印象に残った作品は、女子生徒が執筆した小説の読み聞かせを、主人公がアドバイスをするという内容ですが、女子生徒の執筆した小説のストーリーも設定が面白く読み応えがあり、彼女のメッセージも込められています。
52ヘルツの鯨のように、不器用なふたりは出会い互いを認め合う。
淡い恋心も見え隠れし、読後感はとても爽やかです。
あっという間に読み終わった気がしますが、18万字以上あったんですね。全く気になりませんでした。テーマの雑学がわかりやすい。最初は「少し難しいかな」と感じたのですが、二章以降はツルツル読めます。
そしてそれはきっと、ヒロインに感情移入できるからなんじゃないかな、と思うのです。というのもこのヒロイン、自分が書く小説の評価を主人公にお願いするんですよ。そして、そのくだりでドキドキしてしまう。まるで自分が書いた話が読者に本音でジャッジされるかのようなあの緊張感がシンクロしてしまうんです。
その一方で読者である主人公はかなりのヘタレです。進学校に通っているだけあって頭は良く、性格も穏やかなんですが、なんというか「自分」というものがないんですね。運の良さで生きている気がします。弱気なあまり失敗を恐れ、自ら一歩踏み出すことをせず、グダグダと、周りやヒロインにおぜん立てされながら、たまに筋を通そうとして頑張るけど失敗やらかすとか、本当に情けない。
しかしこの主人公の内面が、なぜか私の高校時代そのままというか、読んでいて羞恥心がむくむくと。ちょっとそういうのやめろよ読んでるこっちが恥ずかしいじゃねーか!っていうドキドキ感。気がついたら結局主人公にも感情移入してた。まったく、とんでもない話ですよ。
この物語の主人公である月ノ下真守が、友人の雲仙明彦と美術室で起きた事件に巻き込まれてしまう所からストーリーが始まる。
全五つのエピソードに分かれた物語で、月ノ下君を視点に様々な事件に巻き込まれ、その度に仲間と協力して知恵を振り絞り、事件を解決していく。
それに話しの合間にちょっとした雑学が入り、また一つ私の知識が増え、賢くなれました笑
それにその雑学がちゃんとストーリーに結びつく雑学だからまた面白い!
さらに、後半のエピソードではヒロイン的存在の星原咲夜が登場し、素直になれない星原さんがもう可愛くて可愛くて。。あーもうそこ遠回すな、ズバッともう言っちゃえ!! なんて思ったりしてました。
読めば読むほど作者の雪世さんワールドに引き込まれていきました。とても魅力的で私の大好きな作品です。現代ものがお好きな方、必見です!
是非皆さんにも読んでほしい٩(๑òωó๑)
雪世さん、今後も応援してます!
ある日、美術室から石膏像が消えた。
盗んだ犯人として疑われた月ノ下真守と雲仙明彦は、石膏像と犯人を探し出すが……。
波里久さんのコラボ作品「放課後退魔篇」から巡ってきました!
星原咲夜の薀蓄や切れのよさ、ちょっとお人よしでまっすぐな月ノ下真守。この二人のコンビに心を魅せられました。^-^
そして、この作品。
まだ「馬の騙し絵と少女の郷愁」を読んだところですが、大変面白く感じております。
文体もテンポもわたしの好みで、正直学園モノは得意ではなかったのですが、すらすら読み進めてしまいます。
キャラの設定も大変好感が持てますし、問題解決方法もすべて納得できるものでした。
この後のお話も少しずつ読ませていただきたいと思っておりますー。^-^
雪世明良さんの作品にめぐり合わせてくださった、波里久さんに大大大感謝です!
舞台はある都内の私立高校。
どこまでも真っ直ぐでお人好しな主人公(月ノ下真守)の姿に、どこか懐かしいような羨ましいような、心洗われた気持ちになりました。あぁ、私にもこんな純粋な頃あったはずなんだけどなぁ……(笑)と。
けれど今そう思うのは、僅かながらも心に免疫がついたということなのかもしれませんね。
実際こういう男子生徒がクラスにいたら、女子生徒の間では密かに人気になっていたりするんじゃないかと思ったり。
社会に出ると人の優しさを利用する人も確かにいるといつか気づいてしまうわけですが、本作品はそういった人間心理や現代社会の闇に鋭い洞察力と推理で切り込みながら、あくまでそれに取り込まれることなく、物質至上主義の社会で隅に追いやられがちな弱者に常に寄り添い光をあてています。
浮き世の荒波にもまれて免疫をつけていくうちにともすれば忘れがちな"人情"や"純粋さ"のようなもの思い出させてくれる本作品は、きっと現代社会で揺れ動く心を力強く肯定してくれるのではないかと思います。
石膏像の盗難事件の疑いを晴らそうとするところから物語は始まります。
女子特有の人間関係や、学校への携帯電話の持ち込み問題などを解決しようとする主人公・月ノ下真守とヒロインの星原咲夜。
扱う問題はとても身近で他愛のないものです。
しかし何なんでしょうこの、緊張感は。
思うに伏線や心情や人間関係をとても丁寧に描いているがゆえに、その問題の重さが身に迫ってくるようです。
話運びにもスキがなく、キッチリとつくられています。
問題解決の仕方も現実的で地に足がついていて無理がありません。
僕はこの物語をサクサクとは読めませんでした。
しかし読後は心が暖かくなるのは保証します。
とっても読み応えがありました。