謎が解けきらない、その素晴らしさを!

本作はまず、謎の提示、その解決という手法で読者を惹きつけます。

推理小説を例に出すまでも無く、何とも魅力的な手法ではあるんですが、それ以上にこの作品を際立たされているのは、しっかりと貫かれている――テーマ性。

本作は、これに対応する“謎”に、安易な解決を与える事は無く、登場人物達は悩み、惑い、時には上手く行かずに苦しんでしまう。

だが、その中で自分を見つめ続ける彼らが、どんなに魅力的であることか!

“謎”に対して答えを安易に出さないからこそ、彼らは瑞々しく、そして眩しく輝くのです。

本作は青春群像劇として珠玉の逸品であること、間違いありません。

ぜひご一読を!

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