司弐紘

この「放課後対話篇」シリーズ。 安定の面白さですが、今回は特に、 「あ、なるほど。こう繋がるのか」 と思わず唸ってしまう構成の妙が特に秀でていたように思います。 このシリーズは…続きを読む

あまりにも丁寧な描写の数々。 紅茶、チョコレートに対して、こだわりのある描写はもちろん。 その蘊蓄は、壁紙や精緻な彫刻にまで及びます。 ロンドンでは無く、マンチェスターを舞台に選ん…続きを読む

変わらぬ日常ミステリーとして圧倒的なクオリティ。 それでも変化は訪れます。 真守達は進級しました。シリーズ愛読者としては、これは中々の出来事。 何しろ最上級生ですからね。 これで情…続きを読む

最初は、鬱々とした大学生活の描写から始まります。 その解像度の高さに引き込まれる中で、理不尽と言える展開がやってきます。 それを主人公たる巡がいなし、逆らい、あるいは流されていく…続きを読む

確かにショート形式の連作なのですが、謎を解いても、それらが綿々と続いて行く構成の妙があります。読みやすく、それでいて長編を味わう楽しみもあるのです。 また、法医学に関する筆者の並…続きを読む

厳かに告げられる戦闘開始の合図。 権能を象徴し己が能力を解放する宣言。 勝利を求める絶対の叫び。 その全てに設定と心が盛り込まれています。 「小説」という文字媒体に接する事が出来…続きを読む

顔が潰され、指紋も焼かれた身元不明の死体。 そんな始まりから、捜査を進めていくほどに、二転三転して行く事件の状況。 それに合わせて、繰り返される推理。 短いながらも、ミステリーのエ…続きを読む

台湾での風俗を描く内に、いつしか台湾はかつての日本が息づいていることが提示されます。そしてそれは、今起こりつつある危機に関しても、やはり台湾と日本は相似形であると。 これが横軸。…続きを読む

まず特筆すべきは、生き馬の目を抜かんばかりの貴族社会。 それがリアルに、そして丹念に描かれていることに驚愕するでしょう。 そして、そういった貴族社会があるからこそ、主役たるユリア…続きを読む

これは投稿サイトだけで行える、新しいエンターテインメントの形かも知れない。 何しろ、不可解な部分をコメントすると、作者、その代理人とも言うべき作中のマスコット、ポリス君が強烈な個…続きを読む

トリック純度が高い、ミステリー好きにはたまらない逸品です。

多少、ネタバレになりますが、視覚の使い方がミステリーの常套手段の真逆です。
これはしてやられましたｗ

私のイベントに参加していただき、合理性を求めるという私の我が儘な注文でしたが、見事な作品でした。 合理性もさることながら、短いながらも、これだけ風景がありありと浮かぶのは、多くの…続きを読む

ミステリー好きとして、この物語に接する事になったわけですが、最初は精緻過ぎる描写に「虐殺器官」に通じるものを感じていたのですが！ 豈図らんや、ミステリーとしても十分でした。 きっ…続きを読む

目まぐるしく、視点が変わる様々な物語。 それは色とりどりのステンドグラスにも似て。 しかし、光を当てれば輝くだろう迷宮の中で、物語を追いかけるための灯火となるのは、仄暗い、あるいは…続きを読む

この作品は、もっと知られて欲しい。 キャラクターの動機付けが、かなりイレギュラーだが、しっかりしている。 しかも、それがダブル。 その上で、テーマへの取り組み方が興味深い。 スト…続きを読む

最初のエピソードが投稿されたのが2018年 そして今、2022年。最終章と銘打たれたエピソードが展開されつつあります。 実に今、おいしいとこ取りが味わえる状態です。 作品から伝…続きを読む

この「放課後対話篇」は相変わらず「振り込めない詐欺」に相応しいクオリティ。 キャラの立ち方、会話、それに上手いミスリード。 さらにはシリーズを通して揺るがされる事無い、キッチリと…続きを読む

戦闘描写によって必然的に描かれる設定。 しかしその設定は、戦闘描写だけにいかされるわけでは無く。 あらゆる描写は伏線となり、あらゆる情報が有機的に結合し、世界に冷徹さを感じるほどの…続きを読む

思い切りよく振り切った作品です。 だからこそ、中編という長さでまとまっているのでしょう。 ＡＩのアイデンティティがゲームが発祥と言う設定が生かされており、そちらが深刻になることも無…続きを読む

読み終えて、まず感じたことは、 「なんて効率の良い物語なんだ！」 という、驚嘆。 言ってしまえば、この実に読みやすい物語に触れるだけで、SFの基本を知る事ができる（ような気がする）…続きを読む

エキセントリックな、主人公「カントク」は一見テンプレにも思えます。 しかし、これがまぁ、手強い。 こんな感じのキャラ、と漠然と物語に配置されていると油断していたら、足下をすくわれま…続きを読む

作中で起きた事件も確かに、かなりの規模の事件なのですが！ それよりもこれが、事実上タダで読めるという事件。 久しぶりに、 「金振り込めない詐欺」 の現場に出くわした感覚です。 未だ…続きを読む

神隠しが起こる奥深い村落へ訪れる、探偵芸人と女優。 この「探偵芸人」というパワーワードが巧みなミスリードでして、随分後になるまで気付かないんですね。 「実は曰く付きの村との因縁が？…続きを読む

フィリップ・マーロウを思わせる男。 それは果たして、如何なる理由を抱えてのことか？ やがて垣間見える、男の背中。 それは未来を喪くした男が、人の未来のために抗う姿だった。 ――だが…続きを読む

最初はホラーめいた、都市伝説をスケールアップした作品なのだろうか？ と思いましたが、実はそれは細密な設定と、衒学的でもある知識、そして異形の思想が、根本にあるのです。 ホラーに見え…続きを読む

この物語を読み始めて、すぐにある違和感に気付きます。 「うん？　書き損じかな？」 と、考えてしまう部分があるんですね。しかし先に進めてみると、実は書き損じでは無く、そこに“ある”キ…続きを読む

かと言って、中学生をフィーチャーする事でも無くｗ 大学生活における、恋愛物というのも全然ありのはずで。 実は、少女漫画においては（まぁ、対象年齢が高めの雑誌に掲載された作品であれ…続きを読む

例えば、漫画や映画アニメ。 それらは視覚に訴える媒介であるため、雰囲気が変わったことを示すことは比較的容易です。 その点、小説は不利ではあるんですが、この作品は特に演出として文字列…続きを読む

情報の出し方が上手い。 自然とどういった世界なのか把握出来ます。 そういう前提があるからこそ、 「魔法使いが剣を持つことの特異性」 でワクワク出来るのです。 安定した面白さが期待で…続きを読む

本作にあやかってゲームレビューのように書いてみたいと思います。 キャラの魅力。 個性的でありながら、彼らもまた成長します。そして老若男女、満遍なく。 人間ドラマ。 ただ配役され…続きを読む

タイトルでまずどういった話かという基本骨子はわかると思うのですが。 間違いなく想像以上に縦横無尽です！　水着が！ だからこそ主人公シアンは無双します！　水着で！ 世界設定も凝って…続きを読む

最初は、エキセントリックなタイトルかと思われるかも知れません。 だが、プロローグが終わり最初に綴られるのは牧歌的な田舎での生活です。 もちろんファンタジー世界なので、単純に鄙びて…続きを読む

前作にあたる「放課後対話篇１～３」も見事な出来映えですが、この「放課後対話篇４」において、私が強く思ったことは、 「学校って、こんなに面白い場所だったっけ？」 という点です。 …続きを読む

本作は、どこかおかしな、それでいて現実から乖離し過ぎない、 「あるかも知れない法律」 によって、描き出される、 「あるかも知れない未来」 このテーマでのオムニバス形式。 そ…続きを読む

言うまでもない事ですが本作は「放課後対話篇」「放課後対話篇２」の続編にあたります。 ですからまずは、そちらから読み始めていただきたい。 そうすれば、あまりに見事に活写されているキ…続きを読む

前作にあたる「放課後対話篇」の続編である本作。 前作よりも、取り上げたテーマを広く、深く、重厚に扱っている感触。時にはさらに衒学的であるかも知れません。 それでいてそれが見事に…続きを読む

本作はまず、謎の提示、その解決という手法で読者を惹きつけます。 推理小説を例に出すまでも無く、何とも魅力的な手法ではあるんですが、それ以上にこの作品を際立たされているのは、しっか…続きを読む