「文字」だけという世界の中で

目まぐるしく、視点が変わる様々な物語。
それは色とりどりのステンドグラスにも似て。
しかし、光を当てれば輝くだろう迷宮の中で、物語を追いかけるための灯火となるのは、仄暗い、あるいは光すらも吸い込まれそうな昏い謎。
それほどに危うい世界が成立しているのは「文字」だけの世界であればこそ。
手探りに世界を「文字」だけで拓いてゆく快感がここにあります。