丁寧な英国文化の描写こそ白眉

あまりにも丁寧な描写の数々。
紅茶、チョコレートに対して、こだわりのある描写はもちろん。
その蘊蓄は、壁紙や精緻な彫刻にまで及びます。
ロンドンでは無く、マンチェスターを舞台に選んだことにも、当時の文化を知る上で意味があります。

……最後まで読めばそれ以外にも意味があるわけですが。

そういった手で触れる事が出来る文化以外にも、当時のイギリス民俗についても筆が及んでいます。
そうなると、当然とも思えるような「殺人」もまたイギリスの文化の一端であるように感じてしまうのも、推理小説愛好家による必然的な誤謬でしょう。

古き良き推理小説を味わいたい方にお勧めです。