「変化」を「成長」と感じられる、その喜びを

言うまでもない事ですが本作は「放課後対話篇」「放課後対話篇2」の続編にあたります。
ですからまずは、そちらから読み始めていただきたい。

そうすれば、あまりに見事に活写されているキャラクター達の「成長」を堪能する事が出来るでしょう。
それはキャラクター個人の成長というわけではありません。
主人公・月ノ下真守を中心とした人間関係も、また成長、あるいはこれは「熟成された」と言うべきかも知れません。

前作二篇と同様、圧倒的な筆力で紡ぎ出される掲げられたテーマに対する、鋭い視点はそのままに、瑞々しく描き出されるキャラクター達はさらに魅力を増しています。

青春群像劇としても見事。
「放課後対話篇2」において「欠落の美」という言葉が出てきます。
まさに、学生という完成途中であるキャラクターたちの、どこか欠けた、いやどこか足りないと自覚しながらも、懸命に答えを探そうとしている姿に胸を打たれる事でしょう。

今回、ラストにおいて大きな変化を彼らは自分で選択して、そしてきっと「成長」するのでしょう。

見逃したくはありません――その瞬間を。

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