迷子の春はもう一つの春を呼び寄せた

今年も出会いと別れの季節がやってきた。大学入試後の失意の中での一期一会。ぼんやりと淡く光る桜の木の下にいたのは、迷子の姫だった。心を通わせ、彼女を助けるために立ち上がる気概が春の夜に清々しい。
時代錯誤の感も相まって、春を呼び寄せる展開に繋がる手腕が光る本作。もう一つの春としての桜を呼んでしまうラストが微笑ましい、言葉はなくても思いは伝わる春色に映える爽やかな物語です。