再起を懸けたリサイタルや数奇の人生のドキュメンタリーで大反響を呼び、『奇跡のピアニスト』で知られるフジコ・ヘミング様。大観衆の魂を震わせた『ラ・カンパネラ』はあまりにも有名であり、彼女の弾く旋律がなぜこれほどまで繊細かつ耽美で尊いのか。高邁な理想に燃え、気高く崇高な精神を弛まぬ努力でどこまでも己の限界に挑み続けたのではないだろうか。
その思いを今一度想起させる力がこの作品から感じられる。
作者様は後悔しましたと吐露していますが、決してそんなことはないと思います。彼女の残した数々の作品を今日の今からでも聴きながらその良さを分かち合い、今は亡き彼女に思いを馳せましょう。天国の彼女もきっとおおらかな心で微笑んでくれると思うから。