鳥かごの中の飛べない鳥のように……抑圧された心身が社会の中で精神的に苛まれていく。よい成績でよい学校を卒業してよい会社へと就職する……予めコースを定められ敷設されたレールの上を走る人生の先に待つ心の葛藤が、淀みなく流れるような文体で紡がれます。主人公の心情描写が痛いほど胸に深く刺さり、同じ境遇を経験された方であれば、かなり共感できる内容ではないでしょうか。後半からラストにかけて、目が離せない展開はとても印象的です。是非読んでみてください。
6月の或る日、地元に戻った主人公は母と共に果実の収穫をしています。主人公は母の管理の下で生きてきました。社会人になってからは、多くの試練が訪れ――。閉塞感の募る世界で生きるということ、それは決して他人事ではない。心が優しいひとが脱落していく、そんな世界は果たして正しいのか。本作を読んだあと、あなたは明日からどう生きていきますか?是非読んで頂きたい名作です。
同じ話を聞いて、笑う人と、悲しむ人と、怒る人がいるだろう感じ方はそれぞれの主観それは間違いないことだこの物語は、まさに主観を揺さぶり、一人一人に問いかけるその王道、ど真ん中を貫いているといっていいかもしれない斯く云う、私の感じたことは──懐かしい共感きっと、主人公が欲しかったのは労いでも、慰めでも、肯定でもない誰かのせいにしなくて済む自分彼の選択は、これから全ての事象の裁可を自分の物として受け取り、降りかかることの始まりのきっかけとなるだろうでも、きっと大丈夫その痛み苦しみは、自分が選び取った「初めて」の選択なのだから
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