心が、目の奥が震えるエッセイです

　看護師さんの医療現場での壮絶な勤務体制や切実なる思いを込めて綴られたエッセイです。そこには私たちの想像を超えた重責を伴う職務と己の犠牲の上に成り立つ職業なのだと、改めて考えさせられるお話に心が震えました。
　業務と看護は違う、まずそこの認識から覆ります。しんどそうにされている患者さんにどこまで寄り添えるかが本当の医療としての看護であることを思い知らされました。
　医療ドラマを観ているような臨場感たるや、その見えない裏側に至るまで、この小説を通してでないと知り得ない医療の実態が明らかとなります。
　一人でも多くの患者さんの健康と命を救いたい強い思い。その後ろに見えるご家族の方々の面々が浮かぶ心境。純然たる使命感をもって今日も現場を奔走する姿に、畏敬の念を抱きます。病棟という戦場で、命を賭けて生と死のはざまで闘っている看護師さん、なんて尊いのだろう。