より良き未来のチューピッド

 乗っ取られた父親の施設の立て直しを図るため、転送装置の開発を進める主人公の陽日(はるひ)が片道切符のタイムリープに挑む物語。最も問題視された時間軸との整合性という課題が立ちはだかり、仮に成功しても過去で誰かと接触すれば、タイムパラドックスが起きてしまう。
 しかし、本作ではこれを回避する手段が実に見事に講じられており、過去の人物との接触を踏まえた構成に作者の手腕が光る。
 今在る精神を転移させて狙いを定めた過去の肉体で受け止める離れ業。病魔に冒されている陽日に残された時間はない。なんとしても成功させてみせる。
 行く末の未来を憂いて過去の一点に降り立った陽日の精神は無事に未来を救うことができるのか?

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