🌷わたしが導く幸せな結婚~生と死の境界の中で……🌷
みゆき
🐭一章 未来という運命の扉を切り拓く。
第1話 懐かしの記憶
母親は研究者、父親は科学者。
こうした経歴を持つ偉大な両親の下で育てられた一人息子。名前は
そんな
というのも、
しかも、二人は研究者という立場から、日々の業務は多忙を極めていた。ゆえに、せわしない暮らしから脱却するべく、施設の一画に自宅を建設。もう1つの理由は、突然にも両親に持ち掛けられた共同経営の話。
といっても、出資を提案した人物は、以前から交流のあった友人。一緒に機密プロジェクトを遂行していた職場の同僚でもある。そんな経緯もあってか、共に事業を進めていく上での職場であり、自宅のような研究施設といえた。
こうして、幼い頃から両親の働く姿を見ていく内に、いつの間にか二十代後半を迎えていた
その類まれな才能には、周りの研究者たちからも一目置かれるほどの実力。両親からしてみれば、自慢の息子だったに違いない。特に父親からは期待が寄せられ、独自に進めてきた転移装置の開発も任せるほどである。けれども、楽しくも幸せな暮らしは長続きしなかった……。
なんとも悲しき現実であろうことか、思いがけない不幸が家族を襲う。それは、突如として発生した未知の病原体により、母親の体は蝕まれ命を落とすことになる。とはいうものの、感染爆発も後を引き継いだ
このような事情もあってか、妻を亡くした父親は目的を失い悲観した毎日を過ごす。そんな中、更に追い打ちをかけた理不尽とも思える悲劇。共に事業を進めてきた
これにより、残されたものは小さな建物と僅かな研究機材のみ。もう何を信じればいいのか、生きていく意味を見いだせなくなった父親。やがて瞳からは光が消え失せ、風貌はまるで亡者そのものであったという…………。
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