黒の厳しき竜王と、白のふわふわ変身兎嬢
- ★★★ Excellent!!!
まず目を惹くのはギャップ萌えです。黒の竜王と呼ばれるオークランド王国第一王子ドレイクは、無愛想で口数少ないのに、「国王陛下は、少女好きのウサギフェチ」の噂が広まってしまう。その原因となったのは王城に転がり込むようにドレイクの元で生活を共にするようになった白ウサギ。◯の美少女に変身することができ、アレやコレやでドレイクを困惑させてしまいます。公務中に怒れるドレイク。でもそんな彼が大好きなウサギは臆することなく猛アタック♡ ドレイクの殺し文句『ウサギ鍋』を放つとウサギはぴゅんっと高速逃避。なんとも可愛らしい。恋の行方から目が離せません。
物語の進行に伴い、隣国アルワーン王国との戦争が絡む歴史の激動の渦に飲み込まれていきます。そこには精霊国から現代に降り立った【黒竜】と、伝説により語り継がれし眠る幻【古竜】とが現世に存在し、選ばれし者が意思疎通と共翔とを可能とする設定も、ファンタジー好きには堪らないのではないでしょうか。
そして迎える精霊の加護を賜り、すべてが輝ける瞬間の描写は壮観です。
おっかないドレイクとふわふわ魅惑の美少女の組み合わせに頬が緩む絶妙なバランス感覚。白と黒との対比も美しくも切なく迫る、生死を分かつ涙ぐましいヒストリー。人間界に伝わる精霊国とが色濃く丹念に織り成される、愛と希望にあふれた壮大なドラゴンファンタジー小説です。