泡遊記（ほうゆうき）

境（きょう）。それは天ツ原（あまつはら）と地ノ泉（ちのもと）という二つの世界が接し重なることで、刹那的に生じたとされる人間たちの世界である。
ある海原で、ひとつの船が何処かを目指して航行している。その船上で、水晶花（うのはな）の君は過去に思い馳せていた――。

そこは境の中心地、環栄（かんえい）。
ひとりの少年は見知らぬ女の死体のそばで目を覚ました。自分が何者で、いったいここが何処なのか、彼は何も覚えていない。
記憶がなく混乱した少年の前に、初氷史紀（ういごおりふみのり）と名乗る男が現れる。彼は少年をウツギと呼び、そばへ置いてくれるようになる。
あの女はいったい誰で、なぜ死んだのか。
ウツギと呼ばれるこの少年と史紀との出会いを皮切りに、少年少女たちの運命は大きく揺れ動く。

独自神話に基づく…続きを読む